【 努力賞 】
【 テーマ:働くこと・職探しを通じて学んだこと】
働くこと
東京都  滝 慧 60歳

人生で生きる目標を実現したい、と何の仕事をして食べて生きてゆくか、とは別物です。しばしばこのふたつは混同されがちです。が、私はこのふたつははっきり分けて考えるべきだと思います。

働くことと職探しは、パンのためであることをきちんと知るべきです。

人生で何かを実現したいという思い≠フ実現は、パンとは一線を画して追及しましょう。

才なくコネなく、金持の親もいないという若者は、自分の手と足と時間をフルに活用して、底辺あるいは中流位の虚業ではなく実業の仕事をさがし、食いついて離さずにパンを得て生活するのがよいと思います。まずは近くの駅へ行き、始発電車にのることです。

私の近くの駅の上り始発電車は、朝4時41分発です。下り始発電車は朝4時29分発です。

私は何年もこの始発電車に乗り、ビルそうじに通い、早朝勤務のヘルパーを勤め、夜勤ヘルパーの仕事を終えて帰ってきました。

始発電車に乗っているのは、あきらかに生活状態は不如意で、低賃金、長時間労働、厳しい労働内容という働き方をしているらしい男や女です。

バッリとした背広姿で、よくみがかれた靴をはく高いレベルの生活を保証されているような、めぐまれた正規雇用の方々は見あたりません。

始発電車の中で非正規雇用の厳しい状況を見ることは、現代社会の階段を上にあがれない多くの人々の一員として生きるとはどういうことなのか、を心の底にまできざみつけるのに役に立ちます。

夢がないと思うかもしれません。

そう、今の現実社会で自力努力でパンを得て生きてゆくのに、夢をみてはいられないのです。

夢はテレビドラムの中でみましょう。

夢や幻想にとらわれずに、確実なパンにたどりつく仕事の道を守って堅実に、一日一日を身と心を強健に生きてゆきましょう。

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