【 努力賞 】
【 テーマ:働くこと・職探しを通じて学んだこと】
第二の就職
新潟県  松 井 晃 81歳

 私は58歳で某企業を定年退職。その後、第二の企業に勤めました。この第二の就職の時に感じた体験です。

 工場で40年間精一杯働いて、定年になって毎日が日曜日、働くよろこびがなくなってしまいました。永年の工場勤務が身に染みついていて、家にいるのが辛くて職探しを始めました。ハローワークへ行っても適職は見つかりません。しかも千葉県から長男の勤務地である新潟県に転居して見知らぬことばかりでした。

 ある時、地方の新聞記事に隣町のK株式会社の工場再構築計画の記事が目に留まり、私が経験してきた職種に類似した関連記事が載っていました。採用募集の記事ではなかったのですが、工場建設再構築という魅力ある記事で、私が望む職種なので、K社長宛てに書状を書きました。

 K社長は何を望んでいるのか推察しながら、また、私を理解して頂きたい願望から、書状は単なる履歴書でなく、単純明快にとA4版1枚(たくさん書いても読む方が大変だろうと思って)に40年間働いた概経歴と私の働く姿勢というかモットーを書いた書状を送りました。

 経歴は現役最後に経験した工場建設、即ち、工場建設の計画から仕様検討・発注・工事監督・検収・操業立上げまで、そして、官庁関係への建設計画の申請届出。完工検査立会、従業員採用・教育、など経験し幅広い知識と経験を得たことを中心とした経歴書。

 そして企業は利益を追求するのが目的です。慈善事業ではありません、事を成す上で重要です。私のモットーはどの職種であろうと、常にPQCDSM、即ち、P(product):生産量、売上量、仕事量、Q(quality):品質、クレーム、C(cost):費用、原価低減、D(delivery):納期、工期、S(safety):安全、衛生、環境、M(moral)モラル、人間関係、を考えながら業務を遂行します。そして、大事なことは、何事も「改善は永遠無限なり」を念頭に置いて、事の展開、事の効率化に怒めていく心得を書いてK社長宛てに書状を郵送しました。

 しばらくして、K社の人事担当から電話が入りました。社長が私に会いたいので来社してほしいとの連絡で、翌日K社を訪問しました。

 早速、社長とたっぷり一時間余、面談をしました。私の要望と異なる点が少々ありましたが、概ね、合点しました。社長は私の経歴とモットーが良かったらしく、また、私を信頼して工場の近代化、効率化を目指し見知らぬ私をリーダーとして採用が決まりました。K社との時機的なタイミングもよかったように思いました。

 おかげさまで働くよろこび、仕事への生きがいが蘇って、活気ある生活ができました。

 この時に感じたことは、学校新卒と違って、第二の職探しは、社会生活を少なからず経験しています。ハローワークに頼るのもいいですが、自ら適職を探し、雇用を依頼する企業に自分の経歴やモットーを十二分に伝えることが大切だと痛切に感じました。

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