日本勤労青少年団体協議会 会長賞

【テーマ:働くこと・職探しを通じて学んだこと】
学歴よりも大切なもの
大阪府  西 岡 正 樹  27歳

今の日本の世の中は学歴社会で、学歴を重んじる世の中になっていると思う。しかし私自身、今まで生きてきた中で、学歴よりも大切なものを仕事を通して社会から教わった気がする。

たしかに、一流大学を卒業して上場企業の会社に入り、結婚し順風満帆にいく人生もあると思う。

私は、その人生を決して否定しない。むしろ羨ましい限りである。

私の学歴はというと、中学卒業後、高校に進学し一年生で中退した。中退した理由は、いじめが原因だった。今、振り返ると、あの時何故言い返せなかったのかなとか、誰かに相談できなかったのかなと思う時も確かにある。

しかし、後悔はしていない。中退した後は、何とか高校卒業資格だけでも取得するべきだと思い、高等学校卒業程度認定試験と言って旧大学入学検定試験に16歳の時、学校に通っていれば高校二年生の時に合格した。

その後、大学受験に向けて勉強していく中で疑問に感じた事がある。いざ社会に出るともっと辛い事が待っている、その時の困難に私は乗り越えていけるのだろうかと不安に思った。

そしてある日、母が地元の求人誌を貰ってきてくれた。勉強もいいかもしれないけれど、世間に出て仕事をしてみればと。私は、正直仕事に行くのが嫌だった。働くのが嫌とかではなくて、同年代の子達は学校に行っているのに、私が行っていなかったからである。どんな目で見られるのだろうかとビクビクしていた。

しかし、将来は私自身も働くことになると思い、同時にお金儲けの厳しさを学びたいと思いパートの面接を受けに行った。しかし、どこに行っても採用されなかった。面接の手ごたえはあるのだが、年齢も若く、学校も行ってないというハンデがあったからである。

数えきれない程落ちた中で、ある日コンビニの面接に行くことになった。

そのコンビニは個人経営のお店だった。私が正直に履歴書を書き持っていくと、そのオーナーさんはこう言った。「人生、勉強だけじゃないから」その言葉に私は何故か心を打たれた。そして、無事そのお店で採用して頂いた。採用して頂いた理由を聞くと、嘘をつかなかった事と正直に何でも話してくれたからだとオーナーさんはおっしゃられた。

私は、自分自身の人間性を初めて人に認めて頂いたのではないかなと思い正直嬉しかった。その後、働きつつ家での勉強も怠らず、大学受験をして無事に第一志望に合格した。大学時代も、そのコンビニ店で四年間働かせて頂いた。日々、色んなお客様が来られる中で、勿論ご指摘をいただいたり、注意されたりする事もある。しかし、それが仕事の厳しさで、私が成長する糧なのではないかなと思った。そして、お金の為に働くのではなく自分の為に働いているのだなと、私自身今でもそう思っている。

大学を卒業し、今現在は不動産の営業の仕事をしている。仕事をする上で人とは絶対に接しなければいけない。でも、どんな時も私は私、自分らしく生きていきたいとそう思っている。そして、人を国籍や学歴、経歴、家柄などで判断するのではなく、その人の人間性を知って、相手の思いやる気持ちをもって、これからも接していきたいと思っている。

本当に、優れている人とは優しい人なのではないかなと、日々思い感じている。

まだ、27歳になったばかりで、これから先どうなっていくかは、私自身そして誰にも分からないが、いつまでも自分自身見失わず、生きていきたいと思っている。

今の世の中を見ていると、受験で一流大学に入った人が勝ち組みたいな風潮があるが、人生勝ち負けではなく、どれだけ人生を楽しんだか、そしていっぱい笑えたかが重要であると私自身は思っている。

勉強はできるに越したことはないが、勉強よりも大切なものはいっぱいある、そしてそれは見えないものである。

明日は明日の風が吹く。これからも、毎日一生懸命生きてゆきたいと思っている。

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