【 努力賞 】
【テーマ:仕事を通じて実現したい夢】
新しいみち
静岡島県立磐田農業高校  田 中 里 奈  15歳

「ばあばが倒れた!?」

私が中学三年生だった頃の十月のある日。受験を控えていた私たちは学校から塾へ直接向う為、私の双子の姉が家に電話をした。すると、姉は瞬きもせずに驚いた表情でそう言った。私は、姉の言葉を聞いて焦った。「朝は元気だったのに。どうして。何があったの。」私たちは学校から家までの約二キロメートルの距離を走った。息ができなくなるほど急いだ。ただ祖母が無事であることだけを祈った。家に着いてしばらくすると、母が帰ってきた。

「ばあばは大丈夫なの?」

私は、「おかえり」と言うのも忘れてそう聞いた。倒れた原因は脳梗塞であった。祖母は透析をしていて病院に着いた直後、上手く話せなくなって倒れたとのこと。でも、病院の人が祖母の異変に気付いてくれたお陰で軽い脳梗塞で済んだ。私たちは、祖母が倒れてから毎日のように病院へ向かった。病室に入ると祖母は笑顔で私たちを迎えてくれた。ほっとした。元気そうで本当に良かったと思った。

それから私たちは平日の学校が終わって後にも会いに行っていた為、毎回晩御飯の時間だった。祖母はいつも 「おいしい。おいしい」と言って次々と御飯を口に運んでいた。この時、「自分の作ったものを食べてもらえて喜んでくれたら嬉しいな。こんな仕事してみたいな。」と思い始めた。

それから数日が経った。祖母の体調も徐々に良くなってきた。私は、ずっと何故あんなに元気だった祖母が脳梗塞になったのだろうと疑問を抱いていた。だから、インターネットで調べてみた。すると原因の一つとして栄養不足であることを知った。それを知ったことにより祖母と同じように栄養不足が原因で苦しんでいる人を助けたいと思った。そして、調理師という仕事をやりたい。この夢を叶えてやる。そう心に決めた。

その頃私は将来の夢を叶える為、どんな道に進もうか悩んでいた。ある高等学校のパンフレットを見ていると食物調理技術の資格がその高等学校で取れることを知った。この資格を取れば少しでも調理師という夢を叶える為の一歩を踏み出せるのではないかと考えた。そしてその高等学校を受験することに決めた。絶対に入学したいと思っていたので、今まで苦手だった勉強を自主的に取り組んだ。自分の限界を更に上を目指して頑張った。新年を迎えあっという間に受験日がやってきた。自分の力を出し切り合格することが出来た。その高等学校が私が通っている静岡県磐田農業高等学校である。

今は、新しい道を歩き始めたばかりだ。だが、正直不安しかない。本当に夢を叶えられるのか。途中で挫けてしまわないか。考えれば考えるほどネガティブになっていくような気がする。でも諦めさえしなければどんなものでも手に入れることは出来ると思う。だから、努力するかいがあるのだろう。私は祖母が脳梗塞になったことをきっかけに夢を見つけることが出来た。これからの人生の中で、良い事悪い事が沢山あると思う。辛い時は、独りで抱え込まずに家族や友人に頼りたいし、頼られるようになりたい。

私はまだまだ未熟者だが、これからもっともっと成長して夢を叶え、たくさんの人に笑顔と元気を与えたい。

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