【佳作】

【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
朝日に輝くさざなみのように
徳島県  岩谷貴美恵  49歳

出勤途中のある朝、川沿いをうつむき加減にトボトボ歩いていると、朝日に輝くダイヤモンドのように輝く、美しいさざなみの光景を見た。

ほんの小さな幸せが、私に勇気を与えてくれる。

現在、私はコールセンターのオペレーター。

1回目の派遣先のコールセンターは、1年過ぎた頃に、派遣切り。

2つ目のコールセンターは、6か月で派遣社員から直接雇用で契約社員になってつかの間、たまたま私の担当の業務内容が縮小することになり、人員削減のために、自分から希望退社。

そして、現在は、3つ目のコールセンター。

今度こそ、ずっと、長く勤めたいと思った。

入社後の1か月間は、業務研修やシステム研修など、コールセンターで勤務するにあたり必要なオペレーターとしての基本知識を学んだ。

高校を卒業してから現在までの30数年間、私は、いろんな仕事を経験してきた。

百貨店の店員、家具店の営業、銀行員のロビーウーマン、銀行窓口のテラー、からあげ店の店員、掃除や接客の仕事、試験監督員、司会、コールセンターのオペレーターなどなど、単発の派遣社員を含めば、20種類程の仕事の経験がある。

全ての仕事に共通しているのが、お客様の対応という仕事である。

長年の経験を生かせるような仕事に就きたいと思い、コールセンターのオペレーターを選んだ。

私は、高校時代にタイプライティング部で全国大会出場し、パソコンのキーボードの入力は得意である。また、長年の接客経験も活かすことができる。

しかし、派遣社員は、派遣期間というものがあるため、直接雇用のパートさんより、給料が高い分、会社の経費的な問題で、派遣先から、契約を継続してもらえなくなるのではという不安はずっとあるのだ。

入社して1か月頃のある土曜日、出勤してすぐに、上司から、「土日は仕事が多忙のため、指導できないので、今日は、15時に帰ってほしい。明日の日曜日も一日休んでほしい。」との指示があった。その後も2回程、出勤日なのに同じような上司から、休みの指示があった。

もともと、シフトでは火曜日と金曜日が休みなのに、土日に出勤できないとすれば、1週間まともに出勤できるのは、たった3日になる。8時間のフルタイムで週5日勤務を希望しているのに、これでは、1か月の給料も契約の際の説明があった金額より、かなり減少する。

私は、気分的にもやもやして、労働基準局の相談窓口へ相談した。

すると、出勤日に派遣先の都合で、従業員にお休みさせる場合は、6割の給与保証が必要とのこと。

派遣先の指示に間違いがあるとのことだった。

私は、勇気を持って、派遣会社に報告した。すると、派遣会社の所長自ら、派遣先の人事担当者に報告し、派遣会社と派遣先との話し合いをした結果、上司の指示により休んだ日の給与を派遣先が負担することになった。

それから以降は、急に休んでほしいと言われることなく、本来のシフト通り、勤務させていただいている。

また、人事から上司に指導があったのか、上司も今までの態度と急に一変、親切に対応してくれるようになり、ビックリした。

しかし、上司は表情には見せないが、きっと私に嫌なイメージが残ったのではないかと思った。

数週間後に迫る契約更新が、少し不安であるが、一日も早く、仕事がこなせるように努力するしかない。

派遣社員だって、人間である。

食っていくために働くのである。人間には、どんな弱い立場であろうと、胸を張って生きていく権利はある。

勇気と努力で、堂々と契約社員を目指して前進するのみなのだ。

たとえ派遣切りにあったとしても、そこに至るまでの努力は、全て自分のものになるのだから。

そして、いつかきっと、

あの朝のさざなみのように、美しく輝く人生へと。

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