【佳作】

【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
テン職とは
千葉県  松原紀子  62歳

愉しそうに仕事をしている人を見たことはありますか?

笑顔で接客している人は多くいますが、愉しそうに見える姿は、なかなか見かけないものです。自分で選んだ仕事でも、違和感を感じることは少なくありません。愉しそうに生き生きと仕事することは難しいものです。

その私の先入観を破ってくれた人がいます。JR武蔵野線とつくばエクスプレスが交差する駅前にあるジムの「ゆかコーチ」です。

「女性だけの30分フィットネス」が、キャッチフレーズの「カーブス」。油圧式マシーンとステップボードが交互に12個、サークルを作っています。その中央でメンバーの様子を見ながら都度、声かけをする「ゆかコーチ」。

「少しでも、いつもと脈拍が違ったら、すぐ、コーチに言って下さいね」

サークルの中央でコーチの大きな声が響きます。宝塚の男装が似合いそうですが、中学からの友人と行く「コスプレ」が趣味だと笑う「ゆかコーチ」。就活時のお父様の体調が優れなかったために、転勤の無い職場を選んだのだと教えてくれました。「健康」に対して、人一倍、敏感そうに映ったのは、大切な身近な人との経験からだったのです。今では、お父様との家族旅行が楽しみだと嬉しそうに、話してくれました。

大切な人であるお父様との体験から「健康の大切さ」を学び、現在の仕事に生かしている「ゆかコーチ」のように、希望通りの仕事に巡りあい、その仕事に就ける人は、数少ない人達です。ほとんどの場合「適材適所」と言う訳にはいかないからです。

それでも、現実の仕事と向きあい、自らの工夫で日々を過ごし「適所」にする努力をしている人達がいます。この人達こそが、働く人の大多数なのです。毎日の積み重ねで「最適な職場」になることを望みながら、あらゆる努力を惜しまない。その堅実さには、素晴らしい想いが詰まっています。

自分の希望を適えるための努力をおしまず前進しようとしても、立ち止まらなくては、ならないことも起こります。それでも、乗り越えられない壁はありません。一人ではなく、皆で、手をとりあって乗り越えていって欲しいのです。終身雇用に風穴があきつつある、現代の今だからこそ、「若さ」をエネルギーに換えて、乗り越えて下さい。必ず、ふさわしい「天職」が待っているのですから。

さあ、一歩ふみだしましょう!

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