【佳作】

【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
さまざまな働き方をめぐるわたしの提言
東京都  羽生田紘治  74歳

人は社会的動物ですから一人の力では生きる事は出来ませんし、いくら高い能力を持っていても夢や目標を達成するためには、周囲の協力が不可欠であります。

そのためにも他の人から好感を持たれたり、信頼されるといった人格、人柄にして行かなくてはなりません。

現在の日本社会ではその人の学歴よりも人格や人柄を重要視して、採用を決める企業が増えて来ていると言われます。

これは何故かと言いますと、企業とは業績を上げ生産性を上げるといった目標を共有した集団によって、組織運営されるものであり、たとえ事業能力だけが高くても人権的に劣る、もしくは人柄が好ましくないといった人がその集団に混じっていると目標達成の妨げとなるばかりか、集団全体の士気の低下をもたらす恐れがある為、出来れば他の人に不快な思いをさせない、他の人と強調して目標達成に貢献してくれる、人格的にも人柄的にも良好な人が企業側では望まれるからであります。

人生は昔からよく航海にたとえられます、果てしなく広く刻々と変化する大海原を、目的地を目指してひたすらに進むその行く手には、平穏で波静かで快適な日々もあれば、嵐で荒れ狂う大波にもまれ散々な日々もある。時には方向を見失いさらには難破して漂流する事もあると思います。いわゆる自然の法則というものにどう従えば安全か、という事ではないでしょうか。

波高い人生の歩みではありますが、日常からこれらの事を頭に入れて何事にもとらわれない素直な気持ちで、どのような事が自然の法則にかなう事なのか見極めつつ行動して行けば、どのような困難にぶつかろうとも、おのずから道は開けて来るのではないでしょうか。人生は長い、けして学問だけが出世の道ではありません。人それぞれ自分にあった職業の選択によって、地道に根気よく、つづける事が素晴らしい人生の歩みになると思います。

知識も知恵もだいじ才能もだいじ、しかし何よりもだいじなのは誠意と熱意であると思います。この二つがあれば何事も成し遂げられます。

以前このような話を聞いた事があります。それは、ある自動車会社で車を売る為の営業マンの中で、一番の多く契約を取る人と、一番少ない人とではその契約高が十倍の開さがあるというのです。この話を聞いた時には大変驚きました。

同じ自動車会社に勤務して、全く同じ条件の車を売っているのになぜそれほどの差が生じるのでしょうか。これにはいろいろ原因が考えられます。例えばその人の性格というのも影響するでしょう。あるいは車に対する知識が豊富なこと、話し方が上手であるといった事もひとつの原因になると思います。

しかしよく考えてみますと、それだけではとうてい他の人の十倍もの契約が取れるとは思えません。

その人の仕事に対する心構えに根本的な原因があるのではないでしょうか。

つまりどれだけ熱心に仕事に取り組んでいるかによるのではないでしょうか。

大成功や、大失敗だけが人生における体験ではありません。

平穏な日々の中にでも心の持ち方いかんでは、大いに体験を積む事が出来ると思います。

巷では良く「百聞は一見にしかず」と言います。これはある事や、ある物について人から百回聞くよりも一回そのものを見たほうが良く解るという意味だと思います。確かにその通りだと思いますが、世の中にはいくらそのものを見たからと言ってもその本質を簡単にはつかめないといった場合もあります。例えば、砂糖を見れば砂糖というものは白いもので、一応ここでは白としておきましょう。こんな感じのものなんだということは解ります。しかし砂糖の甘さといったものは、いくら頭で考えたり、目で見たりしても解るものではないでしょう。

自分で一口なめてみる、頭で考えるのではなく自ら味わってみて初めて砂糖というもめが解ると思います。この様に体験を通してはじめて物の本質をつかみ理解する事が出来るという場合が、世の中には少なくありません。

先輩とか、年長者が尊敬されるのも長年の間には色々な体験を積み重ねておりその体験から来る見識とか判断力とかにおのずと違うものがあるからだろうと思います。

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