【努力賞】
「大変だね」の意味
島根県  坂本竜太  29歳

ふと「自分は、なぜ働いているのか」考えてみた。考えてみたもののよくわからない。就活しているときは、休みがあって、給料がよくて・・・。「何になりたい。何がしたい。」などの目標がなく、「周りがしているから、自分もしなくては」と、その程度にしか考えていなかった。

そんなふうにあまり考えず就活をしていたが、現在の会社に採用していただき、無事、就職することができた。入社して最初は、現場実習をしていた。私は力仕事があまり得意ではなく、初めの頃は体力的にしんどく、家に帰っても何もせず、すぐに寝るという生活が続いた。そんなある時、現場でお客様と直接話す機会があった。そのお客様は、私が新人で、仕事ができないということをわかっておられた。
「何もわからずに現場に出て、あんたも大変だね。」
お客様にそう言われた時に私は日出嵯に、「いえ、そんなことは・・・。」と答えた。それまでの私は、
「実習中だから。何もわからないから。」
など、自分ができないことを言い訳にして、先輩に教わったことをメモするだけ、指示されたことをするだけで、自分からは何も行動していなかった。

しかし、お客様に「大変だね。」と、言われた時、「現場に出ていて自分は何か役に立っているのだろうか。」と思うようになった。それからは、先輩が次に何をしようとしているのか、次に必要になる材料・工具は何かなど、自分なりに考えて動くようにした。もちろん、間違えることも多々あったが、徐々に、「次はこれ。次はこれ。」と、自分の中で仕事の流れを掴めるようになってきた。この時から私は、「今日は大変だった。」と、自分が施工したわけではないが、自信と達成感を持てるようになり、やりがいを感じるようになった。

入社5年目となった現在、私は営業をしている。現場とはまた違った仕事だが、実習で学んだこと・経験したことは、確実に活きていると思う。

ここまで書いてみて、改めて働くことについて考えてみたが、「働く理由」は、やはりよくわからない。しかし、就活時に重要視していた「休み」や「給料」だけではなく、「達成感」や「やりがい」があるということは、確実に言える。そして、その「達成感」や「やりがい」は、自分で考えて行動した時に初めて得られるものだと思う。上司に指示されたことをただやるだけでは、「達成感」や「やりがい」はなく、働くことがつまらなくなり、ただしんどくなるだけだ。だから私は、これからも自分で考えて、「次のこと」を考えて働いていきたい。

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