【努力賞】
【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
挑戦する
兵庫県  小川雄太  31歳

私は、高校の地理歴史科・公民科の教師として勤務している。中学校の教師としても勤務した経験があるが、中学校と高校のどちらの学校現場においても慌ただしく毎日が過ぎていった。教師というものは、教科の免許状を有しており、教科ごとに採用されている。そのため、その教科の授業を行うことが教育活動の中心である。しかしながら、それ以外にも部活動の顧問を務めることは必須であり、授業や部活動に付随する業務以外にも書類の作成などに追われている。文字通り、私は息つく暇もなく、10年間教師として働いてきた。

この忙しい10年間、私はさまざまな業務に忙殺されながらも、挑戦することを心掛けてきた。私の挑戦してきたものは、資格試験である。それも簡単には合格できないであろう試験を選んで挑戦してきた。教師となったこの10年間で合格したものとして、気象予報士国家試験、行政書士国家試験、防災士試験があげられる。たった3つだけかもしれないが、多忙な中において、通勤電車の中などの時間を有効に活用し、いずれも独学で合格を果たした。

さて、教育には、教科指導や部活指導だけでなく、「隠れたカリキュラム」というものがある。カリキュラムとして存在しないのに、教師や仲間からさまざまな影響を受けて、知らず知らずのうちに教えられていくことを意味する。これを、教師の側から捉えると、生徒に対して、背中で教えることだと私は理解している。

私は、中学校や高校に勤務する中で、多くの頑張っている生徒は、教師と同様に多忙な生活を送っているのを見てきた。そのような生徒に対して、親だけでなく教師も期待を持って、もっと頑張ってもらいたいと思うのは当然のことである。その際、気をつけなければならないのは、教師が「頑張れ」と言うだけでは、言われた生徒が余計に疲れてしまう可能性のあることである。頑張れと応援することも大切なことではある。そこに、教師が背中で教えていくことが加われば、より一層、教育的効果は高まるのではないだろうか。私の実践してきたことが、意図せず生徒に良い効果を及ぼし、「隠れたカリキュラム」となっていればと願うばかりである。

私自身が心掛けてきたことは、どんなに仕事が忙しい中にあっても、資格試験に挑戦してきたことである。忙しい毎日の中で、何かに挑戦するということは、教師に関わらず、どのような職業に就いていようとも大変な困難を伴うものである。しかし、それを実行するかどうかは自分の意思次第である。私自身の挑戦する姿勢が、生徒に何かを伝えることができていれば、大変嬉しいことである。

これから,私自身の年齢が上がるにつれ仕事量が多くなり,ますます忙しくなるだろう。しかし,私は挑戦していくことを続け、いつまでも生徒に対して、背中で教えることができる教師でありたいと考えている。

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