【佳作】

【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
障がい手帳を持てない就活
福岡県 小 松 由 加 51歳

現在就職活動をしている人の中に、少なからずいるだろう。病気や怪我で身体的に不自由しているの に、障がい手帳が発行されない人が。

身体障がい者の基準はかなり厳しい。多少、日常生活で困っていたとしても、手帳は発行されない。そ の逆に精神疾患の場合は、半年通院すれば手帳は発行される。

なぜ障がい手帳のことを言うのか。それは障がい手帳を持っているか、いないのかで就職活動が大き く変わってゆくからだ。

精神的には何ら問題はないが、身体的に不自由な部分がある。しかし障がい手帳はない。となると壁 になるのは、健康な人と同じ土俵の上での就活となる。

面接の時に必ず訊かれる健康面のこと。ここで嘘を吐いて採用されたとしても、実際勤めて、症状が 出たとき「実は持病があります」と、会社に告げると、罰金が課せられることがあるそうだ。その額も 何十万円という。やはり嘘を吐いてまで採用されても、うまくゆくはずはない。だから正直に面接の時 に、病気や怪我の後遺症のことを伝える。すると必ず不採用となる。

私は腰に持病があり、杖をついている。しかし片足が悪いだけでは障がい手帳は発行されない。

キャリアコンサルタントに言われたことは「企業は病名が付くと嫌がるんです」ということ。ハロー ワークでは「障がい手帳があればいいんですが」だ。同じようなことを言われた人もいるだろう。

一般就労が困難なら在宅で、という人もいるだろう。それで身体が不自由でも自分なりの働き方を、 見つけられた人もいるだろう。仮に在宅で仕事が出来たとしても、生計を立てることを前提にしたとき、 在宅の仕事でかなりの収入を得るのは難しい人の方が多い気がする。私の友人は大病後、外での就労が 難しいためインターネットを通して仕事をしているが、月収2~3万円程度だ。

友人も私も障がい手帳がない。よって “障がい者就労支援” も受けられない。

これは若者も含め、就活をしている人たちにとって大きな問題だと思う。

誰もがフリーランスで出来る才能を持っているわけではないし、病気や怪我の後遺症のため長く就労 できず、経済的に苦しくなって、パソコンもスマホも持っていない人もいるだろう。

しかし皆、生きてゆくために、もしくは叶えたい夢のために、社会に出て仕事を通して、いろんな人 と交流したり、自分を見つめたり、社会性を学ぶためにと、様々な理由で “働きたい” という気持ちを 持っているはず。

だからこそ障がい手帳を持てない、障がいのある人たちのことも考えてもらいたいと、日常感じてい る。

ハローワークも企業も、そういう中途半端に放り出されている “働きたい” 人たちに、寄り添ってサ ポートしてしかるべきではないだろうか。

そして現在、身体的に多少不自由していて、障がい手帳を発行してもらえない人で、就職活動をして いる人たちに “働く” という望みが叶うことを切に願っている。

戻る