【 佳   作 】

【テーマ:現場からのチャレンジと提言】
コンビニとシンギュラリティ
日本大学商学部  樋 口 遼 大  19歳

現在、私はコンビニでアルバイトをしています。アルバイトを始めてから約半年が経過し仕事内容も覚え、よりスピーディーに仕事を全うすることができるようになりました。そんな中、大学のある講義の中でシンギュラリティという言葉を耳にしました。近年は人工知能の発展が著しく、そのシンギュラリティがますます進んでいます。シンギュラリティによって効率化や、自動化、無人化などが可能になりました。このような産業におけるシンギュラリティは、比較的好意的に受け入れられてきました。日本ではまだ本格展開していませんが、世界中では無人コンビニも話題となっています。無人化が好意的にとらえられる反面、コンビニに限らず職が無くなるのではないか、と不安感を持ちました。そういった漠然とした不安感を持つ人は多いのではないでしょうか。人工知能のように正確かつスピーディーに仕事を出来るかと問われれば、自信をもってYesと答えることは経験年数約半年の自分にとって到底不可能です。かえって経営者側からすれば人工知能を導入した方が正確かつスピーディーに仕事を行えるほか、人件費の削減にもつながるのではないかと思います。それでもなお未だに日本が無人コンビニを導入しないのは人間にしか出来ないことがあるからではないでしょうか。また、人工知能の発展が私たちを取り巻くこの時代を生き抜くためにはどうすればいいのでしょうか。

1.アルバイトを通じて気付いたこと

コンビニでのアルバイトの中にも人間にしか出来ないことがあると思います。例えば品出しの作業です。コンビニの場合には、品数が多く置かれている商品の形状も異なります。また、ストックの場所も多岐にわたります。よって、品出しの作業は人間が介さなければならないでしょう。

仕事をする上でQSC(クオリティー〈質〉、サービス、クリーンネス〈清潔〉)を意識するように言われています。質の面では賞味期限が一例だと思います。多数ある商品の中から賞味期限の迫った商品を除くのは品出しと同様、人工知能には出来ないことでしょう。サービスには接客があげられます。人工知能には正確性がある反面、感情はありません。感情をもって接客するということは大切な事です。清潔面も同様です。店舗の隅々まで清潔さを保つということは商品を販売する環境においては当然のことです。陳列棚の商品を一時的に移動し隅々まで清潔にするには人間の手が必要でしょう。

2.これからの時代を生き抜くために

今、この時代他人と違うのは当たり前なことであって、他人と違ったことをすることに価値があります。他人と競争するというのはレッドオーシャン(競争の激しい市場)の考え方で、そうではなくて一人一人がブルーオーシャン(未開拓な市場)な考え方をしなくてはいけません。ブルーオーシャン的な思考をするのは、競争心とは真逆の考え方です。ここで重要なのは競争をするということが決まるとデータさえあれば機械の方が強くなるということです。競争するということは同じ土俵にいる、つまり勝負するための要素が決まるから、要素が決まると機械はデータから計算可能なので機械の方が強くなります。それはチェスや将棋の例を見ると明らかです。ブルーオーシャンの考え方で何をやるかが決まっていない状況では人間は機械に十分に勝てるということです。レッドオーシャンの考え方は捨てて、自分で信じた道を淡々とやっていって、その中で自己実現をしていくということが大事になってきます。

私たちはこの時代を悲観するのではなく、適応していかなければなりません。また、人工知能と対立するばかりではなりません。根拠のない不安が生み出す悲観的な思考を持つのではなく、多様性に満ちたこの時代で自分の道を歩んでいくべきなのではないでしょうか。この先の未知なる世界で自己実現をしていくために、生き方を考える良い時期なのかもしれません。


参考文献リスト

落合陽一(2017)『超AI時代の生存戦略〈2040年〉シンギュラリティに備える34のリスト』大和書房

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