【 佳   作 】

【テーマ:仕事探しを通じて気づいたこと】
就職活動を終えて今思うこと
金融機関  糸 岡 真 美  22歳

「また企業からお祈りメールや。」

「私も今日の面接、全然アカンかったー。」

大学4年の春。就職活動をしていた私は、いくつもの企業に落ち続け、身も心もボロボロになっていた。それは周囲の友人も同じで、互いに傷を舐め合う日々を送っていた。

「もう、自分に就ける仕事なんてあるんかなぁ。人生何が正解なんやろう?」


「そもそもまだ21、2歳やのに将来の事とか決めるのって、ハードル高くない?」


このようにカフェで友人と弱音を吐くことは、もはや日常となっていた。緊張した面持ちで、リクルートスーツを着て歩く同年代の人を街で見かけるたびに、焦りと憂鬱が襲ってくる。

面接に行けば、自信を持って素晴らしい経験を語る学生もいるが、自分にはこれといって誇れるものがある訳でもない。

また「絶対にこの会社で働きたい」という企業や業界がある訳でもなかった。どこかの企業から内定を貰わなければ。そんな気持ちで就職活動に臨んでいたことを、採用する側には見抜かれていたのかもしれない。

不採用通知が届く度に、『あなたは社会にとって、必要の無い人間です』と言われているような気がして、苦しい気持ちになる。就職活動を通じて、私は自分の無力さを痛感させられていた。


そんな中、ある金融機関の面接に行った。正直、金融業界の仕事は堅いイメージで、自分には合っていないのではないかと思っていたので、受かればラッキーくらいの気持ちであった。会社の入り口に着くと、人事の女性が私を見るなり、

「○○さんですね、こんにちは!」と挨拶をして下さった。

顔を見るなり名前を呼んで頂いたことに驚き、私は思わず尋ねた。

「面接に来る学生の名前を、1人1人覚えられているんですか?」

すると人事の女性は、笑顔で教えて下さった。

「私は自分にできることをしたいだけなんです。今、金融機関の仕事って、機械化が進んでいるのは知ってるかな?

AIやフィンテックのような機械が導入されて、人間の仕事にどんどん取って代わられているんです。

でも、そうして便利になっていく中でも、人と人との心の繋がりは大切なものだと思っていて。

だから人間の自分にしかできないことを、これからも考えながら、この会社で働いていきたいんです。」


私はこの言葉を聞いて、心がジーンと温かくなった。そして同時に、「この会社で、このような志を持った人達と仕事がしたい。」と強く感じた。


数ヶ月後、私はこの企業から内定を頂き、晴れて社会人となることができた。入社して3ヶ月が経ったが、まだまだ慣れない事も多く、慌ただしい日々を送っている。

共に苦悩していた大学の友人たちも、それぞれの場所で懸命に働いているようだ。


就職活動を振り返ってみると、決して楽なものでは無かった。しかし、もがき続ける中で、どこかで必ず道が開ける時がくるはずだ。私のように、最初はあまり興味の無かった業界に飛び込むことになるかもしれない。正解は分からない。

ただ私は、あの面接の日に聞いた言葉を胸に抱き、今日も自分にできることをしていきたいと思っている。

それが私なりの、「働く」ということだ。

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