【 奨 励 賞 】

【テーマ:仕事を通じて、かなえたい夢】
私の経験を生かして叶えたい夢
武蔵野大学付属千代田高等学院  春 桜 曄  17歳

私は普通の女子高生だ。外見も中身も普通。でも、一つだけ違う。外見からは気付かれないが耳が聞こえにくい。補聴器を付けている。それでも、私は普通校に通う高校生だ。そんな生活の中でも夢がある。学校を作る創設者になる夢だ。ただ、夢を追い掛けている訳ではない。今回は私の夢について述べさせて頂きたい。

私は小学校から今までの11年間、普通校に通って来た。小学校の母校は二つある。通常学級と聞こえと言葉の教室だ。小学校入学当時、「卵」を上手く言えなかったり、「タ行とサ行」の発音に悩まされた。友達や、先生と会話することも難しく、思うように意思疎通が出来なかった。しかし、小学校を卒業する時には、聞こえと言葉の教室のおかげで、苦手な「タ行とサ行」も克服した。あんなに会話することも、難しかったのに話すことが大好きになった。この環境で育った中、私は耳が聞こえにくい子でも、手話が会話の中心だったり、人工内耳の子などが沢山いることを知った。

中学進学時には、小学校の先生や保健室の先生、聞こえと言葉の教室の先生に選択肢の一つとして聾学校も勧められた。聾学校を見学してみると、手話が多く使われていた。私は手話を使ったことがなく、皆と同じように使いこなせる自信がなく断念し、普通校に進学した。

高校進学時、勉強面や会話面に不安を感じて小学校の時に見学した学校とは別の聾学校を見学した。「あなたの人生だからよく考えて、どんな道を選んでも応援してるよ」この聾学校の先生に言われた言葉だ。私の担任の先生にも、納得が行くまで最後まで相談に乗って頂いた。その結果、私は今の高校に通う決断をした。だが、今回の聾学校は校風が良く入りたい! とも強く思った。だから、最後まで本当に迷っていた。今でも、高校進学時に相談に乗って頂いた聾学校の先生には相談に乗って頂いている。そして、その聾学校の友達も出来て交流をする仲だ。

今の高校でも、友達に助けられながら、充実した学校生活を送っている。普通校に入学しても、偏見や苛めとかあるのかな、なんて考えていたのに時代や環境、友達が変わっても、皆、優しく普通の人と同様に接してくれる。何か分からない事があっても教えてくれるのだ。

しかし、障害による、教育格差が問題視されている。実際、私が通う高校でも、配慮の体制に時間を多く要している。私は、手話を覚えてしまうと話そうとしなくなる、と専門家の先生などに言われて手話は覚えなかった。たまに、「聞こえない人=手話で話す人」とイメージを持つ人がいる。私の聾学校の友達も手話を使って話すが、一生懸命に私と話そうと文字に書き起こしてくれた。障害の度合いによって配慮と工夫が必要となるのだ。

ある日、私のように配慮が必要なのに実現されていない環境の人は、どのくらいの数の人がいるのだろうか、と考えた。私の通った聞こえと言葉の教室の先輩や同級生も、普通校に進学した人も多かった。普通校でも、聾学校のように配慮が十分整っている訳では無く、限られた配慮体制なのが現状だ。普通の子と同じように生活をして授業を受けたいから普通校に通った、又は通いたい人もいたのに聾学校を選ばざるを得なかった人もいるだろう。私のように話せるが、手話を日常会話として取得しなかった人も多いはずだ。私は体育、英語が特に苦手だ。体育はダンスが苦手で音を合わせるのが難しい為、カウントで振りを合わせようと工夫している。英語は好きな科目でもあるが、発音が合っているのか不安に感じたりする。例えば、セがケなのか発音が分からなかったりするのだ。だから発音をカタカナ表記にすれば発音の仕方も分かる。

私は将来、普通校の障害格差を解決して、耳が聞こえにくくても普通校に通いたい人を受け入れられる学校の創設者になりたいと思っている。私だからこそ理解し実現できる、配慮体制を整えられる学校にしたい。それが今の私の夢であり目標だ。

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