公益財団法人 勤労青少年躍進会 理事長賞
女性にとって、「子供を育てる」ということはそれぞれの人生にとって大きな責任を伴う素晴らしい仕事、子供の成長にとって「母親」という存在は、子供達の人生に最も重要な役割と影響を及ぼし、特に幼児期の過ごし方は人間形成における大きな礎となることはよく知られています。一方社会の急激な変化による生活の変容で、女性の社会進出の機会が多くなり共働きの家庭が多くなって来ました。少子化、若年層の働き手の人口減少、高齢化による要介護人口の増加により様々な社会現象が生じています。子育てと仕事の両立、ワークライフバランス等女性が活躍出来る社会について新聞やテレビで度々語られる言葉ですが現状は如何でしょうか。
私はかつて約50年前、アメリカの大学院に留学していた主人の元で、アメリカの女性達の子育てと仕事の両立の姿を実際に見、沢山のことを学ばせて頂きました。一昔前でありながら、すでに信頼に裏付けされた合理的な助けあいの支援活動が行なわれていました。地域が家族になり、社会全体で子供の教育や保育にあたる。老人も若人も一体となり自分自身の問題として教育活動に参加する。互いに時間割を作成し空いている時間を調整しあい利用する。自然な形でベビーシッターとなり各々が仕事や勉学に安心して専念出来て有意義なアメリカでの生活を過ごせたことに感謝の念で一杯です。一時保育システム、子育て支援団体との連携など日本でも身近な情報を利用し、人的資源の開発と活用を行なうのも大切な要素と思えてきます。 最も優れた北欧諸国の子育て事情、幼児教育を調べるため、私は近年度々スウェーデンやデンマーク、フィンランドを訪れました。福祉や育児の先進国スウェーデンを例にみますと、@、専業主婦の割合はわずか2%(20〜64才)A、平均就業率は88%(25〜54才女性)で殆んど共働き。B、育児休業、両親計(480日)賃金保障80%(390日)、後90日も保障あり。C、男性の育児休業取得率90%。D、待機児童数は殆んどなし。E、出産費をはじめ教育費も国が全額負担。保育環境の素晴らしさ、行き届いた就業前教育のシステムには驚かされる。
「子供は社会の宝である。皆で子供を育てましょう」という国の基本方針が明確に打ち出されている結果といえるでしょう。
「女性にとって安心して働ける社会を作る」にはどうすればよいか。日本では子供を保育園に預けられない「待機児童」の問題が働く女性の一つの大きな壁となっています。受け入れ場所と保育士の不足が問題になっています。私は次の事を提案したいと思います。大学の力、大学の「知」を地域に活用し学びを共有していく事だと考えます。全国の大学構内に保育施設を作り保育士指導の学生がボランティアで保育に携わる。学生達も実践を通し、将来の自分達の子育てや保育、教育の生きた学習の場として据えることが出来ます。次世代の学びの場として素晴らしい効果を発揮出来る場と私は信じます(両立させるため)。
子供を育てながら働くための短時間勤労制度(育児、介護休業法第23条)、所定外労働制限(育児、介護休業法第16条の8)など子育て上必要な法律や知識、厚生労働省ホームページ等を利用し子育てや仕事との両立のための新しい時代を造っていく強い信念が一人一人の心の中に芽生えていくことが何より大切なことと思います。「子供は社会の宝です」 私は現在78才です。子育てをしながら一生懸命生きて参りました。退職後も若い時から続けているボランティアをしています。若い人達のための支援、教育、相談、交流等多忙な毎日です。「働くことは素晴らしい生き甲斐」だからです。ボランティアは誰にでも出来る「最高の学び」でもあります。女性が安心して働け活躍できる明日の社会をつくるために一緒にがんばりましょう。