私は在宅でライターをしています。 けれど、今の職を選ぶまでは、接客業やOLなど、普通に外の世界で働いていました。
そんな私が在宅での仕事を選んだきっかけは息子の誕生でした。
片道2時間半をかけ病院へ通い、不妊治療を行った末の妊娠だったこともあり、治療を考えたタイミングで仕事はすでに辞めていました。
そうして念願の長男が誕生しました。
ところが、育児にはたくさんのお金がかかります。
働かなくていけない。
だけど、ようやく会うことのできたこの子と離れたくない。
そう考えた私は、子どもを家で見ながらできる仕事がないかと考えました。
最初は内職もしました。
けれど、あまり腰が丈夫でない私が長時間前かがみの状態で作業をした結果、椎間板ヘルニアを悪化させてしまい1ヶ月で断念しました。
内職はできない、だからといって手に職があるわけじゃない。
一体どうしたらいいんだろう。
そんな途方に暮れていた時に、私は図書館である起業家の本を借りて読みました。
何気なく手に取った一冊でしたが、その方は本の中で、私のようにやってみたいけれど技術がないという悩みを気持ちよく一蹴していたのです。
やれないと思う前に、どうしてやってみないのか。
私なんかにできない、それは誰かに言われたことなのか。
そして、自身も身の丈を超える仕事を引き受け、納品を行うために自分でスキルを磨き頑張った結果、技術がついてきた、という記述。
私は頭をハンマーで殴られたような気がしました。
文章を書くことが好きで、小さなころから一人で書いてきました。
よくある絵日記帳は3日で一冊を埋め、教科書の空きスペースは自作小説の下書きだらけでした。
けれど、それを人に見せたことはほとんどなかったため、自己満足だけで終わってしまい、とても自信にはつながっていなかったのです。
大好きな文章を書こう。
それを仕事にしよう。
そう決めた私は、ライターの募集を見かけるたびに応募をするようになりました。
精一杯書いてみよう。
それでも私の文章を気に入ってもらえなかったら、お金は受け取らず誠意をもって謝ればいい。
考え方をこんな風に変えたら気持ちが一気に楽になります。
最初は小さな仕事から。
そして、少しずつ受注を頂くようになり、多くの方に文章を褒めていただき、喜んでもらえるようになりました。
その一つ一つの「ありがとう」が自信になり、もっと先へ私を後押ししてくれているようでした。
こうしてライターとして歩き出し、長男の出産から5年が経った昨年。
私は次男を出産しました。
長男は来年小学生、子どもの成長はあっという間です。
そんな彼らの姿を一秒でも多く目に焼き付けるため、私は今日も家で仕事をしています。
一瞬を逃さないように、目の端ではハイハイする次男をとらえています。
そして、彼らの前で仕事をしていることで、私には一つの夢ができました。
それは、大きくなった時に仕事をしている私のことを誇れるような母になること。
実は、私自身が少女漫画などでは定番の、締め切りに追われながら働く在宅ママが出てくる度、少し羨ましい気持ちでいました。
忙しいのは大変だけど、お母さんが文章や漫画を描いている姿をかっこいいと感じていたのです。
私の場合、今はまだ、子どもと遊ぶ時間を確保しながら、仕事の時間を作らなければいけません。
それは、子どもたちにとって、外へ出る仕事よりは嬉しい反面、仕事なんて無ければいいのに、という思いもあるでしょう。
それでも、いつか大きくなった時には、働くことが必要だったのだと気付くはず。
そしてその時に、うちの母さんちょっといいよね、そう言ってもらえたら、どれだけ幸せでしょうか。
言葉ではなく、自分たちでそう感じてもらうことができるよう、母として、ライターとして、私はこれからも堂々とした背中を見せていきたい。
その積み重ねがきっと、彼らの心に伝わるはずだと信じて、自分の道を今日もまっすぐに歩いています。