【 佳 作 】
「俺にも出来たー!!」 これは、電気工事会社に勤めて1年目の後半に仕事を通して私が感じた素直な喜びです。この感動ともいえる思いは社会人になって、今の会社に入社していなければ味わうことの出来なかった感情だと思います。私がこんな思いを感じたのは、職場での経験が大きく影響しています。その経験とは、新任営業マンとして先輩に同行しお客様のところへ訪問したことから始まりました。
そのお客様のところは以前にも訪問したことのある方で私も何度かお話したことのある方でした。そのお客様は一般的に言うと気難しく倹約家というイメージで、その方に指示されたれたことの見積もりを作成して持っていってもなかなか、受注に結びつきませんでした。指示された見積もりを作成し、時にはお客様のためになるであろう提案の見積もりを作成してもそれで終わりという繰り返しでした。ただ訪問した際にちょっとした作業の手伝いをして帰る。そんなことを何回か繰り返すうちにこのお客様は私に仕事をくれる気がないんだろうなと感じ出していました。
しかしそんな状況でも一緒にお客様のところにいく先輩社員の方は違いました。嫌な顔ひとつせず頼まれる手伝いをし、受注にならない見積もりを作成しておられました。さらには、頼まれていないにもかかわらず玄関のゴミ拾いまでやっておられました。そんな状況をみて私はなんでそこまでこのお客様に尽くすのかと聞きました。すると見積もりが受注にならないにはまだまだ隠れたお客様のニーズを見つけることが出来ていないからであり、自分が未熟なだけだからお客様は悪くないと言われました。掃除に関しては気づいた人がやればいいし、それがお客様のためになっているならなおさらいいと言われました。また、こういうお客様から仕事をいただけたときは何倍も嬉しいと言っておられました。そんなことを言われでもそのときの私はあまりその気持ちを理解することができませんでした。
そんな私も色々なことを経験し、2年目を迎えることとなりました。私にも担当営業先が与えられ少しずつ一人でお客様のところへ訪問することが多くなっていきました。分からないことだらけで悪戦苦闘するなかで私は前述のお客様のような方を担当することになりました。最初は大変だから嫌だなと感じましたが、先輩社員の話を思い出し自分なりに努力を重ねた結果、とうとうそのお客様から仕事を頂くことが出来ました。そしてお客様から「いつもありがとう」という言葉を頂くことができました。そのときの喜び・達成感は今でも忘れることが出来ません。
そんな、経験をすることが出来たのはあの時先輩社員の方が教えてくれたからです。当初は無駄に感じていたことも経験してみると、とてもやりがいを感じることが出来、そのなかで自分自身様々なことを考え、成長することができました。私はそんな経験が出来たことに感謝し、この仕事を一生続け将来的には若者を育て地域に貢献していきたいと思います。