【 佳 作 】
私は生まれつき知的障がいがあります。高校を卒業してすぐ、障がい者として、施設の介護職員として働き始めました。職員全員がサポートしてくれると言われていたため、私はとても安心していました。しかし入社初日、指導係もなく、私はいきなりトイレ誘導をして、と言われました。その上、どの利用者が立てるのか、オムツなのかリハビリパンツなのかも聞いても教えてくれませんでした。そのため、ほとんど自力か、数少ない親切なスタッフに聞くしかありませんでした。日勤のスタッフリーダーが他の人にした申し送りを私にはしてもらえない。時間配分が出来てないという理由で
「土下座しろ」
と言われた事もありました。特にケアーマネージャーはひどく、毎日、人格否定されました。
「あんたは介護士の資格なし」
「生きている意味がない」
などと、時には一時間以上に渡って怒鳴られることもありました。しかし誰も私の味方になってくれるスタッフはいませんでした。結局、相談する相手がいないまま二年で退職する事になりました。仲良くなった方と別れて地元に戻るバスの中で涙を我慢するという事は恐らく一生忘れる事が出来ないと思います。
退職して6年以上経ちますが、今でも働く事を考えると怖くて、再就職に踏み切れません。知的障がいは重度から軽度、その程度によって、どこまで出来るのかは人それぞれ違います。私の場合、コミュニケーションを取るのは少し苦手ですが、人の役に立つ事は、とても好きです。空気を読むのも中々苦手です。でも知的障がいがあっても人と話す事は大好きな方もいます。私の様に物事一つ覚えるにも、苦労はするが、覚えられるという者もいます。健常者の方に分かってもらいたいのは、
「知的障がいがあるから」
と、障がいがあるからあれも駄目これも駄目と諦めてほしくないことです。それと言わなくても分かるだろうと思わないことです。まずそこから知ってもらいたいです。