【 努力賞 】
【テーマ:私が実現したい仕事の夢】
「はたらく」ということ
静岡県立磐田農業高校 戸田大葵 17歳

私は「はたらく」という言葉から強い強制力を感じる。世の中には様々な人がいる。それこそ、自ら進んで社会に貢献している人や自分の好きなことを仕事にしている人も大勢いるだろう。しかしそれは世界中のほんの一部の人たちだけだ。世界中のほとんどの人間は安定した生活を送るため、厳しい現実を生きていくため「しょうがない」とあきらめて嫌々はたらいているのだ。ただ仕事を片づけるだけの生き方になってしまったが最後、そんな人生に希望はないと思う。そんな現実を全く知らずに日々の生活を楽しんでいる小学生、中学生、高校生がいるのだと思うととても腹立たしくてたまらない。とかく言う私もあと数年もすれば働かなくてはいけない年齢になってしまう。少し前まで楽しく学校生活を送っていたというのに、時間が過ぎるのは早いものだと感慨深い気持ちになる。別に働くことは嫌ではないが、「はたらく」という言葉の中に感じられる強制力が嫌なのだ。もちろん自分でも分かっているのだ。これは現代社会で生きている人間に必ず与えられる、果たすべき大事な役割なのだと。しかし、そう理解している反面、私は自分の将来に希望をもつことができない。自分が働き生活をしている姿が想像できないのだ。一体どんな企業でどんな仕事をしてどんな人たちと関わっていくのか、全くと言っていいほど予想できないのだ。先を見通すことができない恐怖というのがこれほどまでにすごいとは思わなかった。

「はたらく」というものに対していろいろ言っているが、私ももちろん夢をもっていたことがある。自分の趣味からそれに関連した企業に勤めている自分を想像したりもした。

しかし、年齢が上がるにつれ、自身の限界を感じた。自分には無理だと思ってしまうほどに絶望した。無難な進路ならばと考えたりもしたが、それを想像したとたん、私は恐くなった。自分の人生が意味のないものになってしまいそうで、これまでの「私」というものが私の中で色あせてしまいそうで、ひどく恐くなったのだ。しかし同時に思った。ならばがんばってやろうと、厳しい現実に抗ってやろうと。やるならそう、今の日常を変えるような物をつくってみたい。自分の生きてきた証を残したい。この目標を胸に、がんばって学び吸収し、現実と戦っていきたいと思う。

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