【 努力賞 】
【テーマ:女性として頑張りたい仕事・働き方】
女性として働く場所をつくる
山口県立山口高校通信制 三谷紗惠子 18歳

日本には古くに「男尊女卑」というものが存在した。男性を重んじ、女性を軽んじる考え方だ。その考えから男性が外で働き、女性が家の中で働くというのが主流になっていた。しかし現在は様々な法律ができ、女性の社会進出は当然のようになってきた。少しずつだが男性も女性も同じように働ける世の中になっているのかもしれない。しかし未だに職業に対して「女性」を表す表現が残っている。「女」社長、「女子」アナ、「女」医などだ。この3つの職業は男性も女性もほとんど同じ仕事内容だ。しかし「男」社長、「男子」アナ、「男」医なんて絶対に言わない。これは「男性」を中心的に考えているからだ。私は今までこのことについて批判的な意見を持っていた。なぜ今まで家の中で“働いていた”女性を蔑視するのだ、と。しかしそもそも日本の政治家の中で女性の割合はたったの約8%だ。これは先進国の中では最低の割合だ。ほとんど男性で決めた法律により、女性が社会進出するようになったのだ。政治家ですらそんな状況なのだからある意味しょうがないと思うようになった。

しかし私は女性が社会進出する上で“女性だから”できる仕事があると思う。私は3年前、女性としての尊厳を踏みにじられるような経験をした。私の心は大きく傷つきこれ以上ない絶望を味わった。担任は男性で、私の言いたいことの半分も理解して貰えない状況だった。私は日に日に人を信じられなくなっていった。その時に出会ったのが女性のカウンセラーだった。同じ女性というのもあり、私の苦しみを全て受け止めてくれたのだ。温かい笑顔と柔らかい声で。カウンセリングを受けるたびに私の心の荷物が少しずつ減っていくのを感じた。もしもそのカウンセラーが男性だったらどうだっただろうか。きっとあの頃の私はなかなか心を開くことができなかったように思う。

ある時テレビでわいせつ事件を取り締まる「女性」警察官の特集をやっていた。その警察官の仕事は事件の被害者の話を聞くことだった。事件柄、女性の被害者が多かった。被害に遭った女性は事件直後パニック状態に陥っていた。しかし女性の警察官が話を聞いているうちに、少しずつ喋られるようになっていったのだ。被害者の女性は「同じ女性が話を聞いてくれるだけで落ち着くことができた。女性の警察官がもっと増えるといいのに。」と話していた。警察官という仕事は体力や忍耐力を必要とし、男性の仕事という認識がまだある。しかし警察官の仕事はドラマや映画のように凶悪犯を逮捕するだけではない。被害者の心のケアをするのも警察官の立派な仕事なのだと私はこれを見て思った。

女性にしかできない仕事も多数ある。最近友達が出産したのだが、その時に活躍していたのが助産師だ。“出産”というものは女性特有のものであり、それを手助けするのも女性の仕事である。他にネイリストやエステティシャンなど、考えてみると女性に近い距離で働く人は、女性が多い。また受付事務など男性もできる仕事だが、細やかな心配りや愛嬌、丁寧さなどで女性が才能を発揮する職業もある。女性は社会に必要とされているのだ。

私は法律がどう改正されても、女性自身が自分で働く場所を作らなければいけないと思う。家事なら家事でそれも立派な職業だ。また最近はスポーツ界でも女性の活躍が目立つ。女性が一生懸命になっている姿は同じ女性に大きな勇気を与えている。しかし、それは男性にも言えることだ。男性向きの仕事、女性向きの仕事と区別することなく、自分の能力を発揮できる場所を作ることが大切だ。またその人自身の価値観によって働ける場所は無数に広がっているのではないか。私は学生でまだどんな仕事に就くか明確に決まっているわけではない。しかしどんな職業に就こうと、自分は自分であるという誇りをもって働きたい。そして女性である自分にしかできない仕事をしたい。このことを胸に今は受験勉強でもしよう。

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