私は今、電気工事士として電気設備に携わる仕事をして2年目になる。私は工業高校電気科卒業で、この道に進み今の会社で働きたいと考えたのは高校2年生のインターンシップでのことだった。そのインターンシップで私は工場、住宅など多くの場所での工事風景を見て回り、実際に作業を少しおこなわせていただいた。工事の内容などはいまいち分からず、自分に出来るかなど到底見当も付かなかった。しかし住宅での見学と少しの作業を終えて帰る時、その家のお客様に「ありがとう」とお礼を受けた。勿論お客様からすれば、私が研修中だということは知る由もないはずだし、工事の関係者だと思われていたのかもしれない。でもその一言で私は「誰かに喜んでもらえる事」がこれほど嬉しいことなのか、と気付かされ「見ず知らずの人にもっと喜んでもらいたい」と思うようになった。その経験を経て私は今自分が学んでいることを活かせる仕事はやはりこれしかないと思い、電気設備工事の道に進んだ。
入社してからの私の目標は、「お客様に感謝していただけるモノづくり」というものだった。ただ実際に現場に出て抱いた気持ちは、作業に対する「辛さ」が半分、新しい事に向かっていく「楽しさ」が半分で、現場に出たての頃は覚えることも多く、作業もさせてもらえる事は限られていて、お客様にありがとうと言われでも、あの時感じた「ありがとう」とはまったく違い、「自分が工事した箇所は大丈夫だろうか? 」「感謝されるほどの事をしたのだろうか? 」と自分自身に疑問を抱いてしまっていた。そんなことを考えながら数か月が経ち先輩にも「もう○か月経つのにそんなこともできんか」など叱られることも増えてきた頃、とある現場で私が作業をした場所で、問題なく照明も点灯し見栄えも締麗に仕上げられ満足していた時、お客様からあの時と同じ「ありがとう」をいただいた。その時、私は入社して初めて自分が満足していただいたという実感を得た。それから私は任される仕事も増えてきて、その分、受け取る感謝の回数も比例して増えていった。
そして2年目となり、私の目標は少しだけ変わった。勿論、技術の向上もその1つだが何よりも今は「お客様に感謝していただけるモノづくり」ではなく、「お客様を満足させ、更に感動させるモノづくり」をする、つまり「いただく」のではなく「させる」ことである。
私はこういった経験から、今の仕事にやりがいがあるかと言われれば「はい」と答えるし、何故この仕事を選んだかと問われでも即答できる。私は今の仕事を選んだ事が何よりも「自分の幸せ」であり生涯「目指す道」である。