私は大学生のときに、結婚・出産を経験した。家族に協力してもらいながら、やっとの思いで大学を卒業。卒業後は、子供を保育園に預けて、就職活動が始まった。
就職するなら、子どもを育てやすい福利厚生のしっかりしたところに。転勤がなく、給料も安定したところに。そういった理由から今の職場を選んだ。
大学入学時に比べ、考え方はすっかり変わっていた。大学に入ったばかりの頃、就職を機に東京へ出て日本中を駆け回って仕事をするものだとばかり思っていた。
というのも、当時パートとして働いており、子育てしながら働くことの大変さを痛感していたのだ。また、先に就職した友人の話も、考えの変化に影響を与えた。育児休暇はあってないようなもの。出産したら仕事をやめざるをえない職場の見えない圧力。短時間勤務を利用すると上手くいかない人間関係。
「子どもが病気だからって、突然休まれると困るんだよね」
独身の友人が放った一言。悪気はなかったのだろうが、胸にグサリと突き刺さった。
日本はまだまだ女性にとって働きにくい、そう感じた。それは就職した今も変わらない。けれど、そういった状況を変えていかなければならないと常々感じている。制度はあるだけのものではなく、実際に利用できるものでなければならない。
現在、私は二人目を妊娠中で産前休暇を取得している。出産後は育児休暇を取得し、ある程度子どもが大きくなってから職場に復帰する予定である。そのとき、ちゃんと復帰できるのか。職場で上手くやっていけるのか。色々と不安はある。けれど、休暇をとろうと思う。育児に関する休暇に限ったことではない。病気のための休暇、旅行にいくための休暇、休まなければならない、休みたいときはきちんと主張していこうと思う。
そのために、二つ実践したいことがある。
一つ目は、休むことで職場に迷惑をかけることはもう避けられないことなのだと割り切ることだ。職場によって様々だと思うが、私の職場では個別性、特異性よりも普遍性、公平性が重要視されている。私がある日突然いなくなっても、次の担当の人がその日から同じパフォーマンスで仕事ができるかどうか。重要なのは、同じサービスを提供し続けるということなのだ。そのためには、外部から自分が今どの仕事をしていて、その仕事がどの程度進んでいるのか分かるようにしておく必要がある。また、仕事のやり方を他人が見ても分かる形で残しておく必要がある。すべきことは、申し訳ないとくよくよすることではない。その迷惑をいかに最小限にするかということなのだ。
二つ目は、お互い様の精神を持つことだ。自分が困ったときは思いきって発言しよう。気兼ねする必要はない。相手が困ったときに、全力でサポートすればいいのだ。休みづらい、そういった雰囲気を少しずつ変えていくのだ。
私たちは職場で一生のうちの大半を過ごす。家族よりも多くの時間を、職場の同僚、上司と過ごすのだ。だったら、楽しい職場がいいに決まっている。楽しい職場は、楽しい仕事、楽しい家庭に繋がり、生活の質、そのものが向上する。結果として、充実した人生につながっていく。そのためには、より良い職場を自分で模索していかなければならない。ただ待っているだけで、良い職場は手に入らないのだ。