【 努力賞 】
【テーマ:私が実現したい仕事の夢】
the rainbow
神奈川県 Taro 34歳

私は今年35歳になる男性教員です。私が実現したい仕事の夢は良い職場を作ることです。

日々の慌ただしさに追われ、ふと足元を見ると、自分のクラスの子どもたちがギスギスしているのに気がつきました。職員室に戻り原因を考えていると、妙な静けさを感じて辺りを見回しました。同僚たちの目が私と同じ灰色をしています。7月。1年で最も忙しくなる月の一つです。

私は定年まで現場にいたいと思っています。管理職、行政等、キャリアを考えたとき、自分の居場所はここだと感じました。子どもたちが自信を持つ瞬間に立ち会うと、毎度心の中で、YES、とガッツポーズをしています。子どもたちは自分の殻にこもってしまうことがしばしばあります。そんな時、必要なのは笑顔なのですが、ご覧のとおり職員室は疲弊しています。

夏休み到来。私は自分に次の2カ条を設け、立て直しを図ります。

第一に、対人において想像力を持つことです。簡単に言えば人の痛みを察するということです。よく話す相手でも、昨日と同じ表情の裏で何かに苦しんでいるかもしれません。子どもは誰かに言ってもらいたい言葉をいつも胸にしまっています。それを察知しパフォーマンスを返すと、笑顔を取り戻します。確かに私の仕事は期日までに成績をつけることですが、可能性を見出すことも大切です。私にもやる気スイッチが気まぐれに入っていた頃がありました。英語嫌いだった私が英語の教員になるとは、親でさえ予想できなかったことです。子どもたちが自分の伸びしろに気づくのがもう少し先だとしたら、多感な今の時期は一つでも自分の長所を認識してほしいです。私はその手伝いをします。

少し派生し、職員の絆についても申し上げます。

職員室には五種類の立場があります。管理職、正規職員、再任用職員、臨時的任用職員、非常勤講師です。人事という言葉が私たちを繋いでいますが、これは五種類のどの立場にいるかで受け取り方が異なります。また同じ職名であっても、年齢や背景を加味すると、一つとして同じ解釈はありません。ですから職員室で立場が含まれる話題をするときは、みんなに敬意を払うべきだと思いました。この心がけを怠ると軋轢が生じ、子どもを自己弁護のための駒として使う輩が生まれます。子どもを囲う教員を生んでいるのは私かもしれません。これからは同僚の悩みにアンテナを張り、共に打開策を考えていきたいです。

第二に、継続力(スタミナ)を培うことです。これは自分がブレないために一番必要なことだと思います。私は研修・研究を通して教育の最新知識と技術を随時得ています。これらの情報は研究授業などのアピールする場で実践に移すことが多いですが、私の場合、それが終わると継続できていないことがあります。確かに分掌や部活を背負いながら教科指導をするのは簡単ではありません。しかし、どうすれば能率が上がるか、検討の余地はあります。まずはきちんと休みの日を設け、プライベートを充実させ、フレッシュな感性を保つことから始めます。そうして自分のしていることを客観視して、当たり前になっていることの中から改善点を発見します。良いと思ったことを継続できるようにしたいです。

Over the rainbowは私の大好きな曲です。特に歌詞が好きです。虹の向こうに自分が思い描いている世界がある、というフレーズはいつ聞いても心が温まります。もしも私たち職員一人一人が自分の色を出せて、一帯の虹になれたら、それを渡っていく子どもたちはどんなに充実した学校生活を送れるでしょう。いつか大人になってくじけそうな時、瞼に浮かんだ笑顔の数が現在地と目的地の座標を教えてくれるはずです。そう考えると、益々クラスを元気にせねばと思いました。卒業式には証書と共に自己有用感を贈りたいです。

職員室から恒久的な虹を発せられるよう、これを機に初心に帰ります。9月。子どもたちを迎える時、私の目には光が宿っているでしょう。

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