【 奨励賞 】
【テーマ:私が実現したい仕事の夢】
夢の生活、生活の夢
あかし若者サポートステーション 明石五郎 27歳

私は毎夜、夢に見る。日の出と共に目を覚ます朝を。朝食は軽めで、食後の紅茶が始めたばかりの仕事への不安をほんの少しやわらげてくれる。家を出て向うのは、いつも別の職場。混雑する電車やバスをくぐり抜け、上司や先輩に挨拶をして仕事が始まる。

何もかもうまくできない私に、周囲は、全く新人ときたら仕方のない奴だ、といった反応。それでも止まらず、少しでも上達を目指してとにかく実行、実行。

ふと窓の外を見ると、いつの間にか夕焼け空。もうこんな時間か、と思いつつ時間いっぱいまで実行、実行。

仕事が終わると、毎回寄るのは何の変哲もないスーパーマーケット。いつもと同じ景色が違って見える。社会人の眼差し。家に帰れば夕食をとり、気ままに過ごす。

休日には凝った食事を作り、空いた時間は何でもかんでもとにかくやってみる。やってみて、あらゆるものを楽しむ。旅行、創作、演奏、散策、園芸、料理にショッピング、その他諸々。決して派手にはせず、あくまでも慎ましやかに、穏やかに。

そして休日が終われば、再び仕事へ。ほんの些細な生活でも、確かに進み続ける、生きた日々。

ふと目覚めれば、全て夢。全て幻。現実の私に職はなく、私生活もまるで破滅的。

「死だけが私を救ってくれる」
そう思うことすら少なくない始末。

しかし、一方でこう思うこともある。
「もし、あの夢の中のように生きられたならどうだろう。私は幸せになれるだろうか」

結論はいつもノーだ。結局、その生活を楽しんでいる心も含めて夢の産物に他ならない。

また、ある時はこう思う。
「それでは、あの夢の中のように生活を楽しめる心の余裕があれば、どうか。それなら、何と言うこともない日を、幸せに過ごせるのではないか」

だが、残念ながらそれもすぐに否定される。その自らの言葉を信じられるほど、私はこの世に希望を持ってはいないのだ。希望を持つのは大切だか、まさしく言うは易しである。全く、悲観論者には手の施しようがない。

そして暗く沈んだ心のまま眠りにつくと、再びあの幸せな生活を、文字通り夢に見るのだ。そりはやはり、私がそうなることを望んでいるということなのだろう。

であるならば。今は生きているだけで酷く苦しいし、そこへ辿り着けるとはとても思えないが、それでも。少しずつ、あるいは、一歩ずつ、そこを目指し歩いて行きたい。たったあれだけの内容なのに道は遠く、あまりに険しいが、少なくとも途切れてはいないのだと。そこへ繋がる道は存在するのだと。そう信じたい。

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