【入選】

私達の未来
筑紫女学園中学校  西田梨乃  14歳

数年前の就職氷河期と言われたのが嘘のように、最近「売り手市場」という言葉をよく耳にする。「売り手市場」は、企業の求人数が増えたにも関わらず、就職希望の学生数が変わらなければ、就職は広き門となる。その為、学生は就職先をじっくりと選ぶ事が出来るかわり、企業は優秀な人材を確保するのが難しくなるのだ。私が大学を卒業し就職するころ、今のように「売り手市場」で、自分の働きたいと思える会社に入社できるのだろうか。そう考えると、何だかとても不安になってくる。

そもそも「働く」とはどういう事なのか、考えてみた。辞書によると、「目的にかなう結果を生じる行為、作用をすること。仕事をする事」となっている。という事は、明確な目的をもち、結果に結びつく職業につくという事だろう。でも、本当にやりたい事を仕事にして、なおかつ多くの人の為になるようなことと考えると、戸惑ってしまう。

昨年、私は中2プロジェクトの職場体験で、RKB毎日放送局を訪問させてもらった。いつもは、テレビの画面で見ているテレビ番組の制作の現場を見たり、撮影機材を触らせていただいたりした。番組収録を見学した際には、こんなにも多くの人達が関わって一つの番組が出来ていることに驚いた。また、スタジオの中は緊張感と活気にあふれており、一人一人の、出演者やスタッフさんが輝いて見えた事を覚えている。

ついつい、視聴者としては、番組の出演者やアナウンサーにしか目がいかない。しかし、番組を見る側の私達の為に何か伝えようとしている人達が、あんなにも沢山いるのだ。プロデューサー、カメラマン、タイムキーパー、照明、大道具、小道具、等々挙げるときりがない。俗にいう縁の下の力持ち。実際には表に出ることはないけれど、その人達がいないと番組は制作出来ない、大事な仕事だ。視聴率なども気になるだろうけれど、ひとつの番組を沢山の人達の力で作り上げていくことの達成感はどんなに素晴らしいものだろうか。

やはり、働くという事の根底には「達成感」や「連帯感」「人との共感」があるのではないだろうか。もちろん、誰とも関わらず一人で成し遂げる立派な働き方もあるだろう。しかし、私は常に誰かと関わり、みんなで協力し、互いを高めあいながら一つの事を成し遂げるような働き方をしたいと思う。また、女性としての働き方も考えさせられる。待機児童の数がなかなか減らないのも問題の一つだと思う。働きたくても働けない人がたくさんいるのが現実だ。女性が働いて、一定のキャリアや会社の中での自分の位置を維持していくことは、日本ではなかなか難しい。また数年前から企業の役員に女性を登用するよう要請が行われた為、人数は増えたが、依然としてその割合は3%ほどだそうだ。

女性の働き方は、様々で正社員か契約社員か、企業に属するかフリーで働くか。選択肢は沢山ある。

いずれにしても、これから色々な勉強や経験をして、いつかは、「これが私がやりたかった仕事」と言えるものを見つけたいと思います。

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