【佳作】

【テーマ:仕事を通じて、こんな夢をかなえたい】
私は無力か
群馬県  借金まみれの大学生  19歳

私は無力である。というのは嘘だ。私は19歳で大学生。現在の日本の平均寿命から逆算して少なくともあと約60年は生きられるらしい。その間に何かしらは成し遂げることができるだろうし、現に大学生として勉学もスポーツも一生懸命頑張っている。しかし、自分は無力なのではないかと毎日のように悩んでいたことは事実である。

私は奨学金制度を利用し、大学へ通っている。私立大学であるせいかブランドバックを持った学生や高級車に乗って登校する学生をよく目にする。お金のない私は背伸びをしたい気持ちと周りとの所得格差を恥じて100円ショップで洒落た紙袋を買って喜んでいた。ブランドのショッパーなんかじゃないけれど、これなら少しは相応しく映るかなと思っていた。しかし、現実は厳しいものであった。そもそも奨学金を使って通っている学生が少ない。私のように奨学金制度を利用し、昼も夜も働きながら通っている学生などいなかった。朝9時から授業を受け、夕方6時から部活をして、夜9時から朝の6時まで夜勤をこなし、また朝9時から授業という生活をしている。寝不足のあまり昼食の時間を睡眠に充てることや授業の合間のたった10分でも寝るようになった。こんな生活をしていれば体調はみるみるうちに悪い方へ。それでも何とかみんなに貧乏なことがバレないように必死で働いた。そして倒れた。私は笑った。そりゃそうだよねって、ダメになるよねって。でも、働かなくちゃやっていけないのに今倒れるなんて私は無力だと感じた。私立大学に通うことが間違っていたんだ。私には相応しくないんだ。散々悩んで、大学を辞めようかと迷っていることを母に話した。母は真っ直ぐと私の目を見て、その決断で後悔はしないかと聞いてきた。私が答えに迷っていると、その程度の覚悟でやめるなんて言うんじゃないと一喝された。「夢を叶えるためにここへ通っているんでしょう。大学を諦めることは夢を諦めることと同じだよ。」と言われた。そうだ、私には夢がある。私のように奨学金を借りてもなお苦労をする人のために何かしたい!そんな人たちをなくしたい!それからはみんなに隠すことをやめた。奨学金を使っていることも、昼夜問わず働かないといけないような家計状態であることも全部さらけ出した。すると、意外にも私を認めてくれる人が増えた。自分の稼いだお金で通うなんてすごいと言ってくれる友達や、働きすぎて体調を崩さないようにと心配してくれる先輩など、必死に背伸びしていたころよりも自分が好きになったし、何より楽になった。

正直、アルバイトをする時間があるなら勉強する時間に充てたい。今でこそアルバイトの出勤回数を減らしたが、やっぱり実際問題働かずには通えない。そんな学生が自分の周りには少なかったけれど、日本にも世界にもたくさんいるということをネットで知った。一生懸命頑張る学生や学びたくても学ぶことのできない事情がある人のために私は会社を設立し、会社の収益で奨学金のサポートを行っていきたいと考えている。現時点で考えている事業の種類がいくつかあるため、この場での発表は控えさせていただくが、会社の理念は「若者に未来を。男女共同参画社会の実現を。」である。

私はこの夢が実現した時に、大きな声で言いたいことがある。「私は無力なんかじゃなかったぞ!」と大空に向かって言いたい。期待と想像は希望へ変わる。フォーカスを当てた範囲は非常に狭いかもしれない。それでも、みんなが希望だ。

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