【佳作】

働くとは
あすなろ会  藤井月穂  21歳

私が楽しく働く上で心掛けているのは、興味と疑問を持つことです。

どんな仕事でも、必ず理由や根拠があるので、なぜこうするのか、やり方の意味を理解しながら仕事をするよう意識しています。また、ふとした小さな疑問が自分を成長させるきっかけだと気付いた頃から、段々仕事が面白くなっていきました。

接客業では、お客様とお話しする機会がたくさんあります。少しの気遣いや、話し方、いらっしゃいませのお声掛け一つでも、顔をあげて言うか、言わないかだけでも、反応は大きく違いました。

入社当時の私は、上司や先輩に言われた通りにしか動けず、相手の気持ちを考える余裕がありませんでした。そして、仕事の本質を理解するまでには、とても時間がかかりました。ですが、ある時お客さまから聞いた「コップの話」のおかげで、小さな仕事でも深く考える大切さに気付くことができました。

例えば、「コップを置いて下さい」という指示があった場合、どうしますか?テーブルにコップを置くだけだと、きっとそれは誰にでも出来る「作業」でしかありません。これを「仕事」にするのであれば、誰の為のコップで(子供用なのか大人用なのか)、何を飲むのか(紙コップでいいのか、熱い飲み物なら持ち手があるものが飲みやすいだろう)いつまでに何個必要なのか(今すぐやるべき事か、他に準備する物はないか)など、コップを使う相手や、起こりうることを事前に調べ、テーブルにコップを置きます。これは、たくさんの疑問で出来た、気遣いでもあります。

毎日繰り返し仕事をする中で、小さな疑問点を探し、理解するために自分で調べたり、恥ずかしがらずに上司に質問をしたり、それらを続けていくことで、いつの間にか自分の中の意識が、単なる「作業」から、誰かの為に行う「仕事」へと変化していき、やりがいが生まれました。

このような経験から、働くとは目的や理由相手を考え、価値を提供することであると考えました。中には、つまらない仕事ももちろんあります。ですが、自分がつまらなくしているだけで、意識の持ち方で楽しくも出来ます。日々の問いかけを大事にして、私なりの「仕事」をしていきたいと思います。

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