【佳作】

【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
何故、私は働くのか
京都府  宮脇阿子  22歳

人は生きていくためにお金を稼がなくてはならない。お金を稼ぐためには働かなくてはならない。だから、仕事を見つけ、働くのだ。働くことはお金を稼ぐための一つの手段にすぎない。私は、学生の頃からそのように考えている。

だが、社会人になり、改めて働くということを見つめ直した時に、働くことの本質と思えるものを見つけた。それは、多様な人々の多様の発想に出会い、常に新しい発見や気づきがある状況で日々学べる環境に身を置けるということである。

もし、一生遊んで暮らせるほどのお金を手に入れられたとする。そうなれば、私はすぐさま仕事を辞めるだろう。そして、自分が好きなジャニーズ鑑賞やプロレス観戦などの趣味に明け暮れるだろう。行動を共にするのは信頼できる、心の底から気を許せるごくわずかな友人に限る。この生活が出来たら幸せこの上ないし、ストレスのない平和な毎日を送ることができる。しかし、自分が知りたい世界しか知ろうとせず、自分がやりたいことしかやろうとしない、自分が関わりたい人間としか関わらないこの生活は、悪い意味で、人として変わらない、成長できない。狭いテリトリーの中で満足し、新しい何かに出会うことを遮断して生きていることは、人として生きることを放棄していると言っても過言ではない。

仕事は嫌なことが山ほどある。苦手な人や嫌な人であっても、仕事なら拒否することは出来ない。やりたくないことでも、上司から「やれ」と言われればやらなくてはならない。どちらも苦しく、辛いことだろう。だが、仕事だからやる。その結果、傷つくことを言われても上手く受け流す強いメンタルが備わっている自分に気づくかもしれない。プレッシャーがあった方が実力が発揮できる自分に気づくかもしれない。自分が知らない自分を見つける機会がこれほどまでに溢れているものは他にない。

社会人一年目。これから先、何十年と働くことを考えると、あまりに道のりが遠すぎて嫌になる。仕事自体は正直言って楽しくない。お金が欲しいから必死でやっているだけ。でも、何十年先に、働くことを通じて様々な経験を積み、成長している私の知らない私がいるかもしれないと思うと、少しだけ楽しみでもある。

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