【佳作】

【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
働く意味と命の大切さ
愛媛県  曽我部雅紀  31歳

昨年、悲惨な出来事が世間を包み込んだ。それは2015年12月に大手広告会社「電通」の女性新人社員が過労自殺したニュースだ。その内容は異様な長時間労働や上司からのパワーハラスメント。SNS(Twitter)には上司に対する不満や罵声、睡眠不足、会社に行くことが嫌になる投稿が何度も見られた。そのニュースを見て私は愕然とした。社会人として第一歩を踏み始める時に会社から強いプレッシャーを浴びさせられ、身も心も蝕(むしば)まれ、そして自ら命を絶つ末路になる。遺族の会見を見ていると娘を失った時の気持ちがメディアを通じて伝わって来るのを感じた。電通の他に居酒屋チェーン「ワタミ」でも過労による自殺が報道されたことがあった。未だに長時間労働が当たり前の印象が残っている日本。それが一つの命を奪う結果となり、労働の在り方が見直しされている。

日本の雇用形態は主に正社員が一般的であり、無期契約で定年まで働ける。一方、契約や派遣社員、パートやアルバイトの場合は有期契約である。様々な働き方の中で普通は正社員で安定した生活を送りたいのが本音である。だが、電通のように正社員でこのような事件が起きたとなると例え不安定でも有期契約のような働き方で自分の命を守るためならば仕方ないと安全地帯を選択する人も増えるであろう。近年では学生をターゲットにブラック企業にちなんで「ブラックバイト」と呼称し、アルバイトでも長時間労働や賃金未払いが加速化。勉学と仕事を両立し、成績や単位を落としてまでも仕事に従事しなければならない状況になっている。どのような雇用形態で働いたとしても契約にはない理不尽な労働環境では働く意味が無い。

では、「働く」とはどんな意味を持つのだろうか?あるブログではこう書かれていた。

「働く意味とはお金を稼ぐ手段であると同時に、働くことでしか味わうことの出来ない人生の充実感を味わうためのものである」。年代によってそれぞれ考え方の違いはあるが、健全な生活を送るために社会で働き、報酬として給与を貰い、働くことで様々なスキルアップを目指す。生き甲斐と大切にする価値観を経験する機会を得ることである。しかし、現代ではどの業界においても人手不足に陥り、雇う側が悪質なやり方で人を集め、法の下を潜(くぐ)り抜けて奴隷のように扱う。周囲から罵声が飛び交い、充実感や生き甲斐もなく自殺に追い込まれる。一つしかない命を自分の手で、あるいは周囲の手で。命を削ってまでやる仕事はない。場合によっては「逃げる」と言うのも一つの選択肢として考えてもいいと私は思う。

様々な働き方があるが、私は正社員として働くことが一番だと思う。そのために労働条件を確認し、日頃から労働基準法などの法律の勉強をしておくことが重要である。労働条件の食い違いや理不尽な扱いをされた場合は労働局や労働基準監督署などの専門機関に相談すること。会社の言いなりになって働いていると身体が悲鳴を上げるかのように様々な症状が表れてくる。「命」と言うのはたった一つしかない大切なもの。充実した生活を送るためにも「働く意味」を本気で考え、命を粗末にすることが無いようにする。「自分の身は自分で守る」それが私の提言である。

最近「パワハラ」をめぐり報道や訴訟に発展していることが多い。現在、パワハラに関する法律が存在していない。政府の「働き方改革」で少しでも快適な労働環境を作り始めようとしているなら法規制で二度とこのようなことが起きないようにしっかりと労務体制を整え、働く人を守るために法律を改正し、安心して働ける環境を作ってほしい。家族や友人、恋人などを悲しませることが無いように…。

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