職業人と聞くと、寿司職人や焼き物職人を思い浮かべる人が多いと思います。でも私はそうは思いません。
私の母は美容師をしています。私が母の仕事の手伝いをしていたときの話です。美容院には混んでいる時だと同じ時間に2〜4人の人を同時進行でやらなければいけません。みんな違う注文だし、かかる時間も違います。ですが母は絶妙なタイミングで4人の人をやっていきます。しかも、ただ仕上げるだけではなく、一人一人の要望を聞き、叶えたり、コミュニケーションを取ったりもします。同時に色んなことをすることはとても大変なことだし、やることがたくさんで中途半端になりがちなのですが母は全て完ぺきにこなしていきます。私も手伝おうと思のですが、かえって荷物になってしまって結局は、何も出来ないまま終わってしまいました。そして、お母さんのラッシュが終わり、ひといきついた時のことです。私が母に
「おつかれ。大変だったね。」
と言うと母は、
「疲れたよ!!まあ達成感は大きいけどね。」
と言いました。疲れているはずなのにその時の母はとっても笑顔でした。その笑顔の意味も分からないので考えていると、ふとある疑問が頭にうかびました。そしてその疑問を聞いてみました。
「なんで、たくさんある仕事の中からこの仕事を選んだの。」
と。するし母は、
「もとは私のお母さん、あなたのおばぁちゃんが美容師だったので。で、私もヘアアレンジしたりするのが好きだったから美容師になったの。」
と答えてくれました。ですが、私には夢がなく、やはりピンとこなくて母に、
「そうなんだ。私には夢がないしなぁ。特にやりたいこともないし…。」
と言いました。すると母はこんな私にとても深い話をしてくれました。
「そっか。まだないのか。私はね。水綺にやりたいことが見つかるのが一番理想だし、水綺にとってもいいことだと思うの。でもね。もし自分が思ってもいなかったところに就職することだってあると思うの。その時にやりたくない仕事だからってやめようって考えたりつまんないなぁって思ったりするのはやめてほしい。その仕事をマイナスにとらえていたり、なんでもつまらないと考えていると、本当にどんどん嫌になっていくから。そうじゃなくて、その仕事をしていくうちにその仕事の楽しさとかおもしろさとかいきがいを見つけてほしいな。どんな仕事についても辛いことだってあるし、楽しいことだってあると思うの。だから初めは嫌だとしてもがんばってほしいな。」
と。これを聞いて私はとても感動しました。そして、私の中で仕事に対しての価値観が変わりました。
このように私の母は美容師という自分が選んだ仕事を誇りに思い、毎日働いています。誇りをもって働いている母は美容師のプロ、つまりとても立派な職業人だと私は思います。そして私も将来、どんな仕事についたとしても、その仕事をきわめて、誇りをもちたいと思います。立派な職業人になるために今からたくさん色んなことに挑戦していきます。