お父さん、お母さん、あなたは今、「何のため」に働いていますか。
私が働くということについて興味を持ち始めたのは、最近のことです。きっかけは、高校の生物の先生のこのような言葉。「私達は、何のために働くのか」という言葉。生物の授業中にも関わらず、先生が言ったこの言葉が、私はどうしても忘れられません。高校三年生となり、将来何をしたいのか、どのような職業に就きたいのか、自分の進路について、深く考えるようになったからです。先生はさらに生物の内容とは全く関係の無い話を、ぽかーんとする私達にこう続けました。「もし、仕事を始めるのが22歳だとして、退職するのが60歳だとすると、約40年間仕事をするのに、楽しくなきゃやってられないよ。来世でまた就きたいと思える仕事に就けるのが、一番いいと思うよ。」と言いました。その時、私は、仕事をしていて楽しいってどういうことなんだろうと思いました。自分の好きなことができれば楽しいのか、お金がたくさんもらえれば、楽しいのか。楽しいと思えるような職業に出会うことができるのかと思いました。考えてみると、世界には、手の指に到底おさまりきらないほどの職業があり、その何千、何万という職種の中から、お父さん、お母さん、あなたは今の職業を選びました。これから社会に出て、働いていく私はどうしてその職業を選んだのか、今すぐにでも聞きたいです。
以前、父の仕事に興味を持った私は、父にどうしてその職業を選んだのかと聞いたことがありました。父は少し考え、当然の事というような顔で、「ありがとうと言う言葉を聞くためだよ。」と言いました。
たった五文字。それほどの言葉の為に父は働いているのか、本当にそれだけなのかと思いました。
高校一年の夏、ボランティアで市内の病院を訪れました。ボランティアではありましたが働く経験をしました。四日間という短い期間でしたが、最終日に患者さんから、様々な色の折り紙で作った鮮やかな首飾りをもらい、このようなことを言われました。「いっぱい話ができて、楽しかった。ありがとう。また来てね。」と、そう言われ、私はとても嬉しく、父の言っていたことが少しわかった気がしました。
私は今、尊敬する父と同じように「ありがとう」という言葉を聞くために働きたいと思っています。
働く目的、これを持つことは、とても大切なことだと思います。私達若い世代はもっと様々な職と触れ合う機会、そして自ら職に触れようとする意志を持つべきだと思いました。
今、もう一度、多くに人に聞きたいです。「あなたは、今何のために働いていますか」と。