【努力賞】
【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
甘えた自分
あすなろ会  上村佳菜子  23歳

社会人1年目。初めての仕事。私は金融機関の職員となった。大学時代、心理学を学んできた自分からすれば、お金や経済のことは専門外で、知識があるわけでもなく、全くのゼロからのスタートだった。日々新しいことの連続で、必死にメモをとっては、帰ってから復習する毎日だった。

そんな日々もだんだんと落ち着き、少しずつできることが増えてきた社会人2年目。私にも初めての後輩が出来た。後輩が出来て、今までの自分がいかに甘えていたのか、そして周りの先輩方に助けられていたのかに気が付いた。初めて後輩が支店に来たその日、私は先輩から「この仕事のやり方を教えてあげて」と頼まれた。その仕事は、普段から自分も行っているものであり、私自身も働き始めて最初の頃に先輩から教えていただいたものであった。しかし、いざ教えようとすると、全くスムーズにいかなかった。書類の説明が抜けたり、手順を飛ばして教えてしまったり、ぐだぐだな教え方であった。その時、人に何かを教えるのはこんなにも難しいことなのだと気が付いた。誰かに仕事を教える時、その仕事のやり方や手順だけを教えればいいのではない。どうしてそのようなやり方になるのか、どんな理由でこの手順になるのかを教えなければならないのだ。教える側は仕事の手順を知っているのはもちろんのこと、その仕事に関する知識がしっかり入っていないといけない。自分が教える側になって初めて、そんな当たり前のことが出来ていなかったことに気が付いた。そして、自分がいかに、先輩に甘えているのかということに気が付いた。今までは仕事でわからないことがあると、まっさきに先輩に聞いていた。もちろん、それが全て悪いというわけではないと思う。けれども、私が聞いてきたことの中で、自分で調べられることはなかっただろうか?一度教えてもらったことなのに何度も聞いてはいないか?私は、後輩に仕事を教えるという経験を通して、自分の心の中の甘えに気が付いた。しかし、後輩が入ってきた今、いつまでも新人気分で先輩に頼ってばかりの自分ではダメなのだ。これからは後輩に聞かれたことに私が答えられるようにならなければいけない。そうして、自分が先輩方から教えていただいたことを後輩に受け継いでいかなければならないのだから。

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