【 奨 励 賞 】
「会社が儲かっているからお前一人くらい何とかなるけどホントならクビだぞ」
「あいつの気が変わらないうちに辞めてもらえ」
大学を卒業してから約3年間就いていた販売職時代に異動初日言われた言葉と退職を伝えた時に後に人づてに聞いた言葉である。
大学時代は接客のアルバイトをしていて「接客に向いているかもしれない」と思って安易に販売職にした結果である。
しかしながら、現実は厳しかった。
仕事も遅く、容量も悪く、ミスも多く、売上も伸ばせず、陰口を言われ「お荷物社員」だった私は心を病んでしまった。
たまらず異動願いを出し、他店舗を経験した後、最後に配属されたのは物流倉庫だった。
能力がないのだから仕方ないのかもしれない。今の世の中なら言い方によってはパワハラだろうし退職勧告なような気もする。
しかし、当時の私は、精神的に病んでいるのも気づかずに、販売員を約2年経験していたので「あと1年頑張ってダメなら辞めよう、どこに行っても同じ繰り返しになるし辞め癖がつく、石の上にも3年って言葉あるし」と我慢して辞めずにいた。
しかしその決断が、これから先、仕事を転々とするきっかけとなるくらいにメンタルを弱くさせてしまう事になるとは知る由もなかった。
販売職在職中に「辞めるかもしれないから資格でも」とヘルパーの資格を取った。
介護職に就いたのはよいが、馴染むのに時間もかかるし不器用な性格も災いし、長い職場では6年いたが、殆どが2年周期で転々とした為、仕事も長続きもしなかった。
それでも働きながら介護福祉士の資格を取り、ケアマネージャーの資格も取った。
働きながら感じているのは「出来るだけ笑顔で」「挨拶は自分から」「言葉遣いは丁寧に」という事。
言われて傷ついた言葉は未だに覚えている。そういう言葉というものは、言った本人は忘れている事がほとんど。
言葉の暴力は「人の心を殺すナイフ」であると感じた。
だからこそ、細心の注意を払わないといけない。
虫の居所が悪かったり疲れていたりする時も、もちろんあるのだけれど、今は「今日何かあった?」と心配されるくらい、そういう関係性が築けている職場に身を置いている。
プライベートでは結婚もして、1児の父である。守るべきものが出来た事で責任もあるが、妻の存在が良き理解者であり身近であるからこそ、感謝と配慮を忘れてはならないと感じている。子供の前で変な言葉遣いをすると真似される可能性もあるので。
言葉はどんな事でも言えば伝わる怖さもあるが、幸せにもなる。
仕事を通じて、言葉を用いて一人ひとりを笑顔にしていきたい。