【 奨 励 賞 】

【テーマ:現場からのチャレンジと提言】
本当の自分で
千葉県  わ わ  46歳

私は、シングルマザー歴18年を迎える会社員です。毎朝5時30分に起き、お弁当の準備をしながらコーヒーを一杯。身仕度を整え出かけます。「行ってきます!」と自宅浪人中の娘に声をかけ「行ってらっしゃい、気をつけてね!」の声に見送られて車で出勤です。

そして…30分後にはションボリ家に帰ってきます。これが私の朝のルーチンでした。

去年、母の勧めで母の友人が役員をする会社てに転職し、転職後すぐからいじめを受けました。「あいつ、1+1も解らない奴なんですよ!」と母の友人に激しい調子で嘘を言い放った男性社員。その様子を丁度出勤してきた私は目撃してしまいました。「周りが仕事をくれない事も、挨拶をしても誰も返してくれない事もいじめだったからなんだ」と、やっと気付きました。今までそれなりのキャリアを持ち、この会社にも母の友人から「力を貸してほしい。」と言われて転職してきた私はこの事実をにわかには信じられずとても恥かしく思いました。その後会社の調査もあり、私へのいじめがあったことがはっきりしたのですが、周りの態度は殆ど変わらず私はうつ病になっていました。それでも会社には出勤し、もらえた仕事をこなしていました。

それがある朝突然、会社に行けなくなってしまいました。どうしても出勤途中に気分が悪くなるのです。結果、有休を使い果たして休職の流れとなりました。

うつ病は、昼夜が逆転しやすいため冒頭のルーチンを守りながら「早く会社に行けるようにならないと!強くならないと!」と焦り不安と悲しさを打ち消すようにユーチューブを見たり本を取り寄せて強くなるよう試みました。死んでしまいたいと、何度も心の中でつぶやきました。

もう疲れ果てた頃「ノートに自分への質問を書き、直感で答えていく」という方法を見つけました。これはその頃探していた「心を強くするには」ではなく「自分は本当はどう考えているのかを知る方法」でした。この頃は不安が強く、探しているものが何だったのかすら分からなくなっていたと思います。

早速試した質問は「いつになったら明るい未来が来る?」でした。そして私が書いた答えは「この先がずっと未来」でした。

そうか、この先ということは一秒後も未来なんだ。今、私が心から笑ったら一秒後には明るい未来があるんだな、と意外にもすんなり納得しました。

この方法で自分との会話を続けていく中で自分は本当はどんな事がしてみたいのかが明確になりました。そして「娘のお母さんとして」でも「会社の一員として」でも「母の娘として」の、どれでもない「本当の自分」の目標を持つことができ、幾分か光が見えた気持ちになれました。

丁度その頃に娘がこう言ってくれました。「お母さんが家に居てくれて、ずっと一緒に居られて嬉しい!」

ハッとしました。私は娘が赤ちゃんの頃から保育園に預けて仕事をしてきました。だから、私達にとってこんなに長い間一緒に居られる時間は初めてのことでした。会社で周囲に疎まれることが当り前になっていた私には思いもよらない言葉でした。私に、居て欲しいと思ってくれている人が居る !!

「私も嬉しい!」

やっと答えると、ずっと我慢していた分まで沢山涙が溢れ出しました。

翌日の朝も5時30分に起きました。出かけた30分後に「元気よく」帰ってきました。

この先がずっと未来なのですから、今、本当の自分で生きています。

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