【 入   選 】

【テーマ:仕事探しを通じて気づいたこと】
上京して働く勇気
東北芸術工科大学  佐 藤 香 織  21歳

生まれてから小中高大と21年間ずっと山形育ちの私。就職について考えたとき地元に残るか上京するかは大きな違いだ。都会で働きたい!あの会社に行きたい!という気持ちもあるのだが、その思い以上に山形でしか暮らしたことない私にとって都会に住むことはあこがれ以上に、勇気のいることだった。


そんな不安に駆られながら過ごしていたある日、「ポロンッ」という音と共に携帯が光り、一つの通知が来た。

「ちょっと話したいことがあるの。今度会えない?」

それは時々お互いの近況を報告し合う高校時代の友達からのLINEだった。


友達も私と同じ山形生まれ山形育ちだった。山形で教師になるため教育学部に通っている。そんな友達に久々に会ったとき彼女は言った、「名古屋に彼氏がいるから名古屋で就職する!」と。

正直私は驚いた。(そんな風に就職場所を決めていいの !?)とか、(付き合いたての今はいいけど別れたらどうするのー!!)とかいろいろ思った。

でも彼女は嬉しそうに「最近名古屋にいったときに住みやすい街だと思った!もう先生にも相談していて名古屋の就職情報も取り寄せたんだよー。あとなんだか最近名古屋のニュースばっかり気になるんだよね」と笑顔と共に言った。


私の不安なんかをよそに彼女は今どんなことを頑張っているかを話し、そんな彼女の姿は高校のときよりもキラキラしていた。


彼女の原動力は今は「愛」かもしれない。でも「彼氏がいるから名古屋に行く」なんていうのはきっかけでしかなく、そこから自分の本当に行きたい場所を見つけたのだ。そして、新しい場所で働く楽しさを。


一方、私はどうだろうか。働きたい会社があっても地元から離れることへの不安からしり込みして動けなくなってる、なんて彼女の前では言えなかった。彼女はすでにその壁を乗り越え先に行っていたから。きっかけを生かせるか捨てるかは結局自分次第だと思った。


私は彼女をこれからも応援したいし、私も彼女のように変わっていきたい。行きたい場所があるなら、チャンスがあるなら後悔のないように拾っていきたい。


次会う時は私も胸を張って、「私も進みたい道を見つけたよ!」と伝えたい。

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