【 佳 作 】
きっと、今の時代、働く事に夢を見るのは間違いなのだと思う。就きたい仕事を目指したとしても、いつかは妥協して、自分が就ける仕事に就いて、夢もなく、希望もなく、働くことになる。どうして生きるのか何て知らないくせに、毎日、生き続けるためにだらしがなく、どうしようもなく、野垂れ死ぬかのように働くのだ。でも、そんな時代で働きたいと思えるようなものを見つけられたら、それは素敵なことなのだと思う。
平等な世界はない。才能は歴然としてあって、努力は大抵無駄だ。男女差別をなくしたって平等はありえない。けれども、働いているうちに居場所を見つけることは誰にだって出来ると思う。だから、居場所を見つけることが僕の夢だ。頑張ったところで、才能がなければ、運がなければ、世界は変えられない。自分が変わってからといって変わってくれる世界だとは思っていない。ならば、凡人に出来るのは世界の見方を変えることだ。辛い仕事がある。それはどうしても辛い。スキルを伸ばすためだと言い訳しても、そんなのはお為ごかしでしかない。無駄だ。辛い。サービス残業を強要されたら死にたいし、働いても税金や年金でお金を取られまくるかと思うと、やっていられない。だけど、最悪な労働生活の中で一人でいい。互いに大切だと思える人を見つけることが出来ればそれだけで、最悪な世界を誤魔化せる。小学校の頃、嫌な勉強でも好きな女の子の隣の席でなら頑張れた。それと同じ。家族を作って、居場所を得て、その人を守るための修行だと思えば、嫌な仕事も頑張れる。きっと、多くの人はそうしている。野垂れ死んでるみたいな腐った目をしているのに、それでも働くのは居場所があるからだと思う。今の僕は居場所がない。家族はいるけれど、それは出生家族。自分で選び、居場所として定義するものはない。だから働いていく中で、そんな居場所を作っていきたい。もっと有り体に言えば、こんな時代で、こんな日本で、死んでしまいたいくらいに世知辛い声しか聞かない社会で働く理由を見つけたい。それが、労働を通して叶えたい夢だ。
目標なんてない。キャリアなんてどうでもいい。仕事だってどうでもいい。生き甲斐とかを仕事に求めるのは、天才の仕事だ。好きな仕事に就いたり、何事にも一生懸命になれたりする人だけだ。その分、パワハラだって耐えるし、サービス残業もしてみせよう。一億人がいるこの日本で、誰かに讃えられることなど一つもない小僧が見れる夢は、どんな夢よりも夢物語なのだ。