【 佳 作 】
私は、母方の祖父母と同居して育った。祖父母は、私が物心ついた時にはすでに介護が必要な状態になっており、デイサービスやショートステイを利用していた。二人がデイサービスに行き、帰ってくると、にこにこと楽しそうな顔を浮かべていた。私にはそれがとても印象的で、今でもその笑顔を鮮明に覚えている。その表情を見て私は、デイサービスではどのようなことをしているのだろうと疑問をもった。このことが介護に興味をもつきっかけとなった。
また、私の母は、特別養護老人ホームで介護福祉士として働いている。母は時々私に、仕事をしていて大変なこと・やりがい・楽しさについて、様々な話をしてくれている。そんな話を聞いているうちに、介護福祉士への関心が高まっていった。大変な仕事なのだろうが、人の役に立てるのであれば介護の仕事に就きたいと考えるようになった。
そして今、私は介護福祉士の国家資格を取得し、将来は特別養護老人ホームに就職したいと考えている。そして、介護福祉士として働いていく中で叶えたい夢がある。それは、介護施設を、利用者も職員も共に喜ぶことができる場所にするということだ。
私は最近、介護施設で職員が入居者を虐待したというニュースをよく目にする。このような介護施設における虐待件数は、年々増加傾向にあるという。そのような介護施設は、利用者も職員も喜べる場所というにはほど遠い。
虐待が起きると、虐待をした加害者が激しく批判を受けることになる。確かに加害者が悪いのはもちろんのことだが、加害者をそこまでおいこんでしまった周りの環境というのにも、多少なりとも問題があるのではないだろうか。虐待が起きている背景の1つにはやはり、職員のストレスがあげられると思う。そうであるならば、どのようにして職員のストレスを軽減していくのかが課題となってくる。その課題を解決するためには、職場での職員同士の信頼関係が大切になってくると考える。職員同士の信頼関係が強ければ、働いていて不安なことやつらいと感じていることなどを、一緒に働いている職員に打ち明けることが出来ると考える。打ち明けることが出来れば、気持ちが少しずつ楽になり、ストレスを減らすことが出来るのではないだろうか。打ち明けている中で、施設全体の問題があると思うことがあれば、それを職員全体で話し合い、改善していくことができれば、結果として、共に喜ぶことが出来る場所へと少しでも近づけることが出来るのではないだろうか。
入居者に喜んでもらうためには、利用者1人1人に合ったサービスを提供し、毎日が楽しいと思ってもらうことが、必要不可欠だと考える。では、具体的にどのようなことが1人1人に合ったサービスなのだろうか。それは、「サービスというのはこれだ」という型をつくらずに、利用者の生活の姿を見てサービスの仕方を少しずつ変えていくことだと思う。人によっては同じことであっても、嬉しいと思う人もいれば不快に思う人もいる。また、身体の状態によっては、体をたくさん動かして良い人もいれば安静にしていなければいけない人だっている。様々な人がいるなかで、型に当てはめたサービスを提供していれば利用者には到底喜んで頂けないと思う。日々の生活の中で、利用者をいろいろな側面で見ていきながら信頼関係を築いていくことで、その人に合ったサービスを提供していくということに繋がり、毎日が楽しいと思ってもらえのではないだろうか。
介護施設を利用者も職員も共に喜ぶことができる場所にするという夢は、簡単に叶えられることではないと思う。だからこそ、今はたくさんのことを学びながら、自分の夢を叶えるためにはどのようなことが必要であるかを考えていきたい。そして施設に就職した際には、ここで述べたことを実践し、学び考えたことを取り入れながらさらに質を高め、いつか必ず、利用者も職員も共に喜ぶことが出来る施設を実現させたい。