【 奨　励　賞 】

私は今、通信制高校に通いながら飲食店で働いている。この仕事を始めたころは、なかなか思うようにいかず、できないことばかりで、辞めたいと思うこともしばしばあった。しかし、１年ほどたった今、私は今の仕事を始めてよかったと思っている。

私は以前、不登校で無気力だった。鉛のように重たい身体と、回転が遅く注意力が散漫なため、だんだんと何もかもが億劫になってしまい、気づけば私は毎日何もせずただぼんやりと日々を過ごすようになっていた。もちろんそんな生活がいいわけもなく、私自身自己嫌悪に陥っていた。そんな時、それをみかねた両親の勧めもあって、私は通信制高校へ転学することになった

最初のうちは馴染めるかどうか、不安でいっぱいだったが、自分のペースで勉強を進めることができるため、案外すんなりと慣れることができた。そうして少し気力を取り戻した私は、もう一歩上のステップに進もうと考え、今の仕事に就いたわけだ。始めた当初は慣れない環境に「つらい」、「辞めてしまいたい」と思うことも多かった。しかし、それでも我慢しながら続けていくうちに、一人でできる仕事がどんどん増えていき、自分に少し自信が持てるようになった。そしていろいろなお客様と出会い、接するうちに、仕事が楽しくなり、やりがいを感じられるようになった。それは今、これまで劣等感に苛まれ続け、自信を失っていた私にとって、とても大きな支えとなった。

今の仕事を始めて、約１年。この１年間でたくさんのお客様と出会ってきた。優しい笑顔で接してくれる人、「ごちそうさま。ありがとう。」と声をかけてくれる人、いろいろな温かい人と出会い、私はそのたびに幸せな気持ちになる。そして私もお客様に少しでもそんな気持ちになってもらいたいと思っている。接客業はきっとそれができるとても素敵な職業だと思う。

私は将来スクールカウンセラーになることが夢だ。接客業とは違った職種ではあるが、相手を思い、相手を少しでも幸せな気持ちにできるという意味では接客業と少し似たところがあるのではないかと思っている。昔の私と同じように気力を失い、つらい日々を過ごしている人が少しでも前を向き、自信を持って将来へと進むためのお手伝いができるようになりたい。そして今の仕事で経験したことを糧に、スクールカウンセラーという夢に向かって一歩一歩歩んでいきたい。