【 奨 励 賞 】

【テーマ:仕事を通じて、かなえたい夢】
憧れ
日本大学商学部  橋 本 紗 弥  20歳

将来の夢について考える時、私が真っ先に思い浮かぶものは憧れである。幼いころからなんとなく抱いていたものであり、大学生になってはっきりと明確になった。だが実際就職活動をしようとなると、当たり前だが憧れだけではいかない。やりがい、大手かベンチャーか、給料はどうか、福利厚生はどうか、離職率の低さなどまだまだ考えることがたくさんある。幼いころから抱いていたキラキラした憧れは実現不可能なものなのだろうか。場合によっては憧れは見て見ぬふりをし、もどかしい思いをしなければならないのか。

大学生になって憧れの気持ちが明確になったのには、アルバイトが関係していると考える。高校卒業後、「自分のサービスによって喜んでもらいたい」という想いから飲食店で接客業のアルバイトをはじめた。アルバイト先には老若男女国籍問わず、様々なお客さんが来店する。最低限の業務内容を覚えてからは、積極的にお客さんとコミュニケーションを取り、その会話を楽しんでいた。憧れの気持ちが明確になっていったのは、そんな接客業の魅力に気付き始めた頃だったと思う。

憧れのサービス力は世界中で高い評価を得ている。私もいつも笑顔で適確なサービスを受けるたびに、「どうしてこんな感じよいのだろう?」「おもてなしのプロだ」と感じてしまう。印象づくり、立ち振る舞いや身のこなし、話し方や気遣い、気配りなど何から何まで学びたいことだらけである。幼いころはぼんやりとした憧れであったが、アルバイトにて接客業を学んだ後実際にサービスを受けてから、ますます憧れの気持ちは強くなった。お客さん一人一人に寄り添い、瞬時に判断し最高のおもてなしをすることは、この先人工知能が発達しようとも機械に代わることはないだろう。

またよりよいサービスを心掛けるうえで、『お客さまに対するサービスや気遣いだけでなく、同僚、さらには上司や部下に対する思いやりの心も生まれるようになった。みんな、自分が周囲から尊重され、サポートされていると思うと、頑張れるんです。だからまた、お客様に対して良いサービスができるようになる』とあった。お客さんに対してだけでなく、自分のお世話になっている人や親しい人など周囲にもおもいやりをもって接することができたら、なんて幸せなことだろうか。表面的にではなく、心から喜んでほしいと思うことではじめて実践できることではないだろうか。

結局これからの就職活動において何を考えなくてはいけないのか、まだ自分の中で正解はわかっていない。憧れを追い求めるのか、諦めるのかどうかもわからない。しかし自分の行いによって喜んでもらいたいという想いは変わっていない。表面的なスキルを身に着けるのではなく、美しい心をもって自分の周りの人と接することができるようになりたい。それはこれからどのような仕事に就こうとも、変わらない夢である。


〈参考文献〉

上阪徹(2018)「JALの心づかい」河出書房新社

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