【 奨 励 賞 】

【テーマ:仕事探しを通じて気づいたこと】
お客様の温かさ
あすなろ会  根 岸 七 彩  21歳

社会人になって1年が経った。

私は今、金融機関の窓口でお客様の対応をしている。

毎日お客様と接し、仕事をしいるうちに、私は接客をすることが好きなのだと改めて気づいたのだ。

それは私が税金の支払いに来たお客様にお釣りをお返しした時のことだった。

私はお釣りの小銭を横に並べてお客様にお返しした。するとお客様が言った。

『こんな風にきれいに並べて頂いたのは初めてだわ。嬉しい、ありがとうね。』

私はその言葉にびっくりしつつも、感謝してもらえたことにすごく喜びを感じた。

そして『あなたお名前は何て言うの?』と私のネームプレートを見て『根岸さん、また来るわね。』と言ってわざわざ名前を覚えて下さったのだった。

どんなに小さなことでもこうやって気づいてくれる人がいることがすごく嬉しくて、それからもお客様ににお釣りをお返しするときは綺麗に並べて返すことを心掛けている。

地元に密着した金融機関であるため、毎日来るお客様もいて、顔や名前を覚えて話かけて下さることがあり、日々お客様との距離が近いことがとても良いなあと感じることができる。

それから何か月か経ったある日、またあのお客様が税金の支払いに来た。『根岸さん、いつもありがとう。あなたみたいな若い子は、今少なくなってきていると思うから頑張ってほしいの。』と言われた。

社会人として1年が経った。環境が大きく変わり、辛いことも沢山あったし、自分が思っていた以上に理想と現実とのギャップに大変だと感じることが多かった。

先輩方の仕事姿を見ていて、自分はまだ出来ないことだらけだし、いつかあんな風にお客様から信頼してもらえるような職員になれるのだろうかと少し不安に思ったことがあった。

でもこうやって小さなことでも誰かの役に立つことができるのだと気づくことができ、お客様の存在は私にとって本当に大切なものになった。

私はそのお客様に言われた言葉を忘れずに、これからもお客様に感謝して頂けるような職員を目指して日々頑張っていきたいと思う。

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