【 奨 励 賞 】

【テーマ:現場からのチャレンジと提言】
イクメンが育児休暇で日本を変える!
青森県  川 村 俊 樹  30歳

私は現在、事情により育児休暇を取ることができない妻に代わって、1年間の育児休暇を習得し子育てに励んでいます。


世間では「イクメン」などと呼ばれる立場ですが、そんな私が今回提言したいことは、男性が長期間育児休暇を取る習慣が日本に根付くことによって、日本社会に与えるよい影響です。


日本においては男性が長期間にわたって、育児休暇を取ることは到底不可能であると考えられています。男性は仕事、女性は家庭、という考え方が今でも根強く残っているためです。また、育児休暇を習得することができたとしても、その期間は数週間から長くても1,2か月程度でしょう。


男性が1年間も育児休暇を習得したいと申し出たら、たちまちその人は「仕事に対する熱意がない面倒な人である」とみなされ、人事面や待遇面などの目に見えない形で悪影響を被る可能性が高まります。


もちろん法律上は、男女ともに公平な扱いをすることが求められています。しかし実際には「とはいってもねぇ...」という感覚で処理されてしまうことも多く、理解されにくい状態になっています。


このような日本社会に対して、私の勤めている米軍基地内のホテルにおいては、男性が1年間の育児休暇を取ることは「パタニティリーブ」と呼ばれ、休暇制度の1つとして既に確立されています。


ではどのようにして対応するのでしょうか。これは職場により差異はありますが、日本よりも柔軟な働き方のシステムを備えることによって、対応します。


私の職場の例で見てみますと、私が6月1日から翌年の5月31日まで育児休暇を申請します。すると、職場の上司にあたるマネジャーは私が働いていないこの期間を埋めるために、期間限定の社員を募集します。応募を募り、既定の人数を採用して対応するのです。


フルタイムで働ける人であれば1人採用するだけで事足りますし、パートタイムであれば複数人採用することもあります。それでも足りなければ、マネジャーが責任を取って働くということになります。


もちろん全ての職場で、このような対応ができるわけではありません。特定の人にしか取り組むことができない専門職などの例外は多数存在します。


ただし習得する時期の違いはあるものの、男性が育児に関わるために育児休暇を積極的に取ろうとする下地は、すでに醸成されています。少なくとも育児休暇を習得しようとする男性に、白い眼が向けられることはありません。この点が、日本と大きく違います。


私の同僚に、同じように育児休暇を取得した男性がいます。彼に育児休暇を取得した理由を尋ねたところ、家族として面倒を見なければ家族ではない、そして仕事の上でもマネジメントの経験を積むいい機会になる、とのことでした。


育児は私が述べるまでもなく、新しい発見と苦労の連続です。「主婦はラク」などと述べられることもありますが、とんでもない!言われたことを理解できない、或いは守ろうとしないことが多い子供をマネジメントする苦労は計り知れません。


日本社会も「働き方改革」に見られるように、男性がより積極的に育児に携わることが大切であることが近年になってようやく説かれるようになってきました。育児休暇をより取りやすい環境が整備されれば、育児経験をより仕事に活用することができるようになります。


特に働く人の年齢が上がれば上がるほど、チームのリーダーや部署の長を任されることも多くなり、さまざまな物事をマネジメントする能力が求められます。この能力を、育児経験によって自然に鍛えることができるためです。


このような育児経験を積んだ「イクメン」が日本中に増えたらどうなるでしょうか?相手の立場を慮ることができ、高いマネジメント能力を備えた人がそれぞれの企業に、職場に、確実に増えることになります。これは、やがて日本という国の成長に大きな一石を投じることになるでしょう。


貴方もイクメンになりませんか?

戻る