【 入選 】
若者の就職には、「本人のモチベーションUP」が大切と考えます。なぜならば若者は、転職者のよう な過去の職歴や経験というバックボーンが少ないため、モチベーションこそが就職活動において大きな 拠りどころとなってくるケースが多いからです。就職でうまくいく人は、多少の困難に遭遇しても、モ チベーションを活用して採用という目的に向かって突き進んでいけます。
学生個人がいかに就職活動の根幹となる「モチベーション」の要素を見つけ出し、いかにそれを維持 できるかが、就職活動の成否の大きなターニングポイントとなるはずです。そのためには学生だけでな く、先輩の大人達がどのようにモチベーションとなりうるものを見つけ出すかかが、重要になってきま す。
私はそれをカウンセリングの中で体験しました。その男子大学生と出会ったのは彼が4年生の2月と いう、大学生の就職活動では後がない時期でした。活動はしてみたものの、なかなか採用には至らない ので、大学の就職課から「今後は公的機関で相談しなさい」といわれ、やる気のないまま相談に訪れた ようでした。それは態度から一目瞭然でした。何を尋ねても若者らしい覇気がなく、会話も単語ばかり で、途切れがちでした。
彼の態度や思考の問題点を列挙し注意を喚起することも、一つの方法であったのでしょうが、私には 賢明な方法とは思えませんでした。いろいろ考えても、空気が重くなるだけなので、見たまま感じたま ま、このような言葉を投げかけてみました、「ファッションセンスが良いね」と。深い意味も、気に入ら れようという下心もありませんでした。ただ人間対人間として、感じたものを言葉にしてを伝えただけ です。
空気が一変して、重かった彼の口の扉が開きました、「ありがとうございます」と。自分に自信が持て たのでしょう、私とのやり取りも増えて、何度目かに来た時には、アパレルや小売販売の仕事がしたい とまで伝えてくれました。応募書類作成や面接対策にもポジティブになり、2日とあけずに私のところ へ通ってくるようになりました。出会って一ヶ月あまり経った3月の末の卒業式数日前に、彼から内定 の報告を受けました。
就職でうまくいかない学生の多くが一社不採用になるだけで、20余年間育んできた全人格を否定され た気になり自信喪失し、負のスパイラルに陥ってしまう傾向があります。打たれ弱いのかもしれません。
逆に長所を見つけてあげると、それまでのネガティブからポジティブ・シンキングに思考が変わり、ス イッチが入ったように自信を持って就活に力を傾注していく姿を何度も見てきました。私はキャリアア ドバイザーとして、就活の第一歩からポジティブに、相談者の長所は何なのか、強みは何なのかを見つ け、それを「モチベーション」として就職活動に貢献することが大切と考えます。