【佳作】

【テーマ:さまざまな働き方をめぐる、わたしの提言】
全ての答えはあたなの心の中にある
徳島県 森 亜由美 36歳

私は24歳から指導者として部下を教育する立場になり企業で働いていた。28歳で管理職になり会社の ために頑張らなくてはとそれ以降更に仕事に邁進する日々を送ることになった。

当時を思い返せば、仕事内容は楽しくもなかったし、やり甲斐もなかった、上司との価値観は合わず、 何度言っても同じ失敗をする部下、自分の事はいつも後回しでプライベートよりも仕事優先の日々。

仕事ばかり優先し婚約者には将来が考えられないと振られた事もあった。

自分が選んだ会社とはいえ、不満を考えれば沢山ありすぎて愚痴のオンパレードになりそうという事 だけは認識できていたので、仕事内容に対するデメリットには目を向けずメリットを見つけ出し何とか やりきっていた。

親にも友達にも仕事の愚痴なんて言ったこともない。

ある意味仕事の発散する場所はなかったと思う。

私は自分でも精神的に強い方だし、切り替えも早い、仕事とプライベートを割り切るのも上手な方だ と思っていたから大丈夫だと思いこんでいた。

そんな中、出張や、接待、残業、部下の退職、新入社員の教育、上司からの急な命令や拘束、自分の 仕事、売上利益低迷、取引先との連携など全ての事を自分一人でかかえていた。

いつも以上に精神的にも肉体的にも疲れていたが会社の中に頼れる人は一人も居なかった。

上司も部下も私に頼ってくるばかりで同じようになりたくないと思っていた私は誰にも頼ろうともし なかった。

 

辛い時でも管理職としてこうあるべきだと、本来の自分ではない自分を作り強く見せる事で自分の弱 気な部分を隠していた。

上司や部下の気持ちを読み取る事を優先し、もはや本当の自分の性格はどうだったのかと自分のこと が理解できていなかった。

管理職になってからそんな生活を8年送っているとある日私の身体に異変が現れた。

身体がだるい、寝ても寝ても眠い、やる気がおきない、腹痛や下痢、地に足がついていない感覚、頭 が働かない、物忘れが酷い、吐き気や食欲不振、そんな症状の中でも周りに隠して私は出社していた。

ある日目覚めるといつものように仕事に行こうと起き上がろうとすると起き上がれない。

身体が動かない。

休みを取ろうなんて考えもせずこんなんじゃ仕事に行けないじゃないかと焦った。

動けない私は部屋のベッドで天井をぼーっと眺めていると同時に我に帰った。

私はこんなに仕事を優先して自分の身体に鞭を打って何をしているんだろ。

こんなになるまで自分の心の声を無視して私は大丈夫だといいきかせてがむしゃらに頑張ってこんな に心も体も悲鳴をあげているのに、あなたは何が一番大切なの?と。

仕事でもない、上司でもない、部下でもない、私は私が一番大切だと気付いた頃には心はぼろぼろだっ た。

病院に行き鬱病だと診断された私は数十年勤めた会社を私は退職した。

退職して数ヶ月経った今も療養中だか、この病気がきっかけで今までの自分を振り返ることが出来た。

社交辞令や我慢、協調性など社会にでると気を使うことも多いが何事も度を過ぎるとよくない。

いつも自分の気持ちはどう感じているのか、自分の心のケアをしてあげることが必要だ。

少し頑張りすぎているから一休みしよう、、大好きなマッサージに行って気分転換しよう、今日は頑 張ったから美味しいものを食べようなど頑張った自分を認め褒めてあげなければならないし大切に扱っ てあげないといけない。

私のように自分のことを後回しにすると結果的に病気となってもうこれ以上はやめときなさいとス トップがかかるのだ。

最近の若者は付き合いが悪いとか、向上心がないとか言うけれども、人や会社に迷惑をかけない程度 であれば本人がそれを望んで自分の心に正直に行動し幸せならば誰も文句なんて言えない。

逆に自分軸があって素晴らしいではないかと思う。

私には自分軸なんてなかったから。

私は今36歳で周りから見れば全て失ったように見えているかもしれない。

でも私はこれからの長い人生で自分の心に従い、自分を大切にし、いつも自分の心に問いかけ、どん な自分でも認め褒めてあげるという事に気付けたことが私にとってはかけがえのない財産になった。

 

長い人生働くことは大切だ。でも同時に自分の心も大切だ。

もし今仕事で行き詰っているなら自分はどうしたい?何が辛くてしんどい?と問いかけてほしい。

答えはいつも自分の心の中にあるから。

 

真面目すぎるならちょっとさぼればいい。

人の相談を受けて疲れるなら少しぐらい聞き流せばいい。

がむしゃらに一生懸命、真面目に働くことが美徳だと思っていた私だが管理職を経験し、病気を通し てマイペースにゆったりと働くことも大切だと言うことを知ることができた。

戻る