【佳作】

【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
働く場所がある幸せ
青森県 長 牛 由 美 43歳

「今日も仕事に行きたくない」。

月曜日の朝は、いつも憂鬱だった。当時、私は、1歳の子供を保育園に預け、仕事に復帰したばかり だった。毎日、仕事や家事に忙しく、心身共に疲れきっていた。夫は、仕事で帰りが遅く、あてになら ない。また、仕事では、昇進したばかりだ。慣れない仕事で、子供にまで手が回らない。加えて、子供 は保育園で病気をもらい、仕事に支障をきたしていた。また、かわいい盛りの子供を保育園に預けるの も可哀想で、当時の私は何をするのも余裕がなかった。

行き詰まっていた私に、同僚が、 「働く場所があるのは、幸せよ」。

と、話しかけてきた。その同僚は、臨時職員だ。責任の度合いが、正社員の私と圧倒的に差があった。

同僚に対して、私は気楽に働けていいなあと思っていた。私は、彼女の忠告を素直に聞くことが出来な かった。

子供が、3歳半になるまで、なんとか仕事と家庭の両立を頑張った。その後、夫の転勤で仕事を辞め、 現在は専業主婦8年目だ。2人目の子供もようやく4歳になり、心の余裕が持てるようになった。

子供が大分大きくなったので、来年から求職活動をする予定だ。夫もますます仕事が忙しくなった。夫 をあてにすることは難しいので、パート勤務を検討中だ。しかし、いざ就職活動をするにも、子供が2 人もいて、近隣に頼れる親戚もいない私は果たして雇われるだろうかと考えてしまう。

そんな不安の中、昔の同僚の言葉を思い出した。1歳の子供がいながら、嫌な顔をせずに、支えてく れた同僚や上司に、私は仕事で十分に報いることができただろうか。仕事で困った時に、支え合える人 の温かさや仕事がある幸せを、ようやく、気が付くことができた。もう私は、子供を産む年齢は過ぎた。

昔、支えられたように、今度は子育てママさんを支える側に回りたい。「仕事があるのは幸せ」という言 葉のように、仕事でどんな嫌なことがあっても、明るく楽しく仕事を続けていきたいと考えている。

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