【佳作】
転職を何度もくり返してしまった私が見つけ、どの仕事にも共通して大切だと感じたことが三つある。
これを若いみなさんの参考にしていただければと思う。
まず一つ目はきちんと食べること。簡単なようで意外と難しい。仕事帰りに疲れた体で買い物をすると、いつの間にかカゴの中は甘いお菓子類が半分以上を占めている。時間が不規則な勤務の時は、食事の時 間がバラバラでリズムをつかめない。忙しい仕事の時は食事をとる暇さえないことが多々あった。短い 間は無理できても長い目で見ると体調を崩す大きな原因になる。
二つ目はよく眠ること。疲れていれば自然に眠れると思われがちだがそうでもない。眠る前にあれを やっただろうかと突然思い出したり、明日の段取りなどを考えていると、体は疲れているのに目が覚め てしまいなかなか寝つけない。
また、残業しても終わらない仕事を家に持ち込んで遅くまでやっていると、当然睡眠時間が削られる。
加えて職場の人間関係に悩まされたり、同僚からのメールの返信を考えていると中途半端に目が覚めて、 ますます眠れない。
私自身の性格や体質も大いに関係していると思われるが、気持ちを上手に切換えて、ぐっすり眠り自 己管理に勤めるのも大切な仕事と言える。
最後の三つ目は自分も周りの人も大切にすること。複雑すぎる職場の人間関係についていけず、安易 に雰囲気が怖い人の言いなりになったり、悪口に同調してしまったこともあった。そのことを反省して みんなに親切にすることを心掛けたら八方美人だと思われた。
職場のストレスを家族に八つ当たりすることで発散してしまうこともあった。そういう時はいつも神 経がピリピリしていて自分で自分に疲れるほどだった。正直言ってどうしたらいいのかわからず、職を 変えることで辛さから逃げていたのだと思う。
退職直後はとてもすっきりする。ただ、解放感に浸っていられるのも一時的で、今度はお金がないと いうストレスに追いつめられる。
次の仕事に就いても、全く同じ人がいないように、全く同じ職場もないので正解はその時々で自分で 探していくしかない。
そのうち私は周囲の人の長所に注目したり、ちょっとしたあいさつなどの声がけに気をつけたり、感 謝したり助け舟を出したりした。そうやって心を込めて丁寧に応じるうちに自然と打ちとけられるよう になった。
また、仕事は要領を覚えて面白くなってくると中毒のようにのめり込み、ずっとやっていたくなるこ とがある。趣味や気分転換などで自分にも少し気を使うことも長い目で見れば大事なことだと気づいた。
これらの三つのことをおろそかにしてしまったために、私は今心身に不調を来し療養生活を送ってい る。ワークライフバランスを重視すれば良かったと今は反省している。
これら三つのことはどれも簡単で当たり前のことのように思えるが、実際に仕事をしているといつの 間にかおろそかになってしまいがちだ。また働けるようになったら今までの失敗を糧にして、しなやか に仕事をして懲りずに試行錯誤を続け向上していきたい。
若いみなさんが私の失敗を参考にして仕事で大いに活躍されるととても嬉しい。