【 奨 励 賞 】
バブルという夢か幻の時代を学生時に過ごした私。三流私大のしかも文学部という悪条件にもかかわ らず、就職先は選り好みさえしなければ何とかなる、のほほんとしたいい時代でした。なのでのほほん とただ一番先に内定をくれたと言う理由で就職した会社を、約10年で先が見えた感じがしたと言う、こ れまたのほほんとした理由で退職。紆余曲折を経て、そんな私は現在警備員として働いています。皆さんは警備員と言うとどういう姿を思い浮かべますか。道路で交通誘導をしている姿、大型店舗の駐車場、 イベントの雑踏整理、金融機関での警戒、企業の受付等で立っている姿、現金輸送車に乗っている。今 の世の中いろんな警備員の姿を見掛けられると思います。私は今、ある大手企業ビルの警備員として働 いております。早いもので警備員歴は通算すると13年余りで、この業界ではベテランの部類に入るので しょう。時には新人さんの教育担当になった事も。中には就職先が無くて仕方無しに警備員になられた 方も、いやこういう方がほとんどなのが実情なのですが。そんな時、私は決まって言う言葉があります。
普通に仕事をしていて、「ありがとう」とか、「お疲れ様です」とか声を掛けられる仕事はそう無いですよ と。仕事として当り前の事をしているのに。例えば道案内をした、フロアの案内をした、落し物を引き 渡した。急病の対応をした等々。そんな時に前記の様な言葉をいただきます。他人に感謝される、お礼 を言われる、なかなかそういう機会ってありませんよね。目に見えて結果が出る仕事だと自負しており ます。中には高圧的な物言いをされる人、クレームの処理とか嫌な場面も多々ありますが、私はいつも その代わりに感謝もされる仕事だと思って仕事に取り組んでいます。いろいろあってやっと自分に合っ た職業に巡り合えたのだと。
これから社会に出られる方、出て間もない方。就きたい職業になれなかった方、憧れの職種に就いた がこんなはずじゃなかったと戸惑っている方。これから長い人生には、必ず分岐点やターニングポイン トがあると思います。そこでどれだけ自分の殻を捨てられるか、自分を信じられるか。紆余曲折、回り 道、大いに結構。どうか自分を信じて歩んで下さい。