【 奨 励 賞 】
この世に生まれたどんな人にも、チャンスと言う女神はいる。諦めずに信念を持ち続ければ、何時か はきっと花が咲く。それを信じる事が大切だ。
私は25歳で独立して建築工務店を始め、問題を抱えた何人もの若者を社員として家族として迎え入れ 育ててきた。不登校の中学生を校長先生から頼まれ、当社で一人前の社会人に育てた事もあった。仕事の やり方ばかりでなく、1日は挨拶で始まり挨拶で終わるという生活の基本を教える事は簡単ではなかっ たが、厳しさと努力と我慢の大切さを叩き込む事で、生きる希望を持ってもらえたように思う。
引きこもりの息子を、部屋から連れ出し社会生活に慣れさせるため、あるいは再婚などの家庭の事情 で、ご子息を私の所に連れて置いて行かれる親御さん...色んな事情があるにせよ、家庭環境が原因で若 者達の生き方を狭めてしまうような親たちが多かった。
それでも私は厳しい中でも優しさを忘れない指導で、我が家に住み込みで働く彼らと共に食事をした り、妻が健康に風呂や洗濯の面倒を見たり、苦労しながら弁当を何人分も作りながら若者を育てるなど、 社会で生きていく為の教育をしてきた。その中には独立して社長になった者もいるし、一人前に社会で 生きる力を付けて家庭をもち幸せになった者もいる。
私を信じて努力する事の意味を知った若者達がチャンスを掴んでくれる事に、私もやりがいを感じた。
人間の正しい生き方を学べば、きっと若者達は未来を夢見る事が出来る。人生に計画を持てば、目標 と目的が夢の実現も可能になるのだ。
人は誕生から一人前の社会人になるまで、三教育は家庭教育、学校教育、社会教育が重要だ。特に実 践的な社会教育は大切だと思う。
家庭環境が恵まれなくても、学校教育で落ちこぼれても、誰かに責任を押し付ける事で逃げてはいけ ない。自分自身の考え方をしっかり持って、努力し続ける事が成功と幸福への道だと思う。当社で中卒 4人入社してきた若者がいるが、その中の一人は家庭環境に恵まれず、片親で貧困生活を経験して努力 と忍耐と社会学を身に付け、今独立して会社を立ち上げ立派に工務店の社長になっている。彼らには皆 信念が有った。信念をもって勤勉に働いた事で、他人から認められ信頼される事につながったのが一番 の成功だと思う。
私も中卒で大工修業に飛び込んだ。20歳で上京、工務店に入社して住み込み、朝6時に弁当持って自 転車で1時間の現場に向かい、遅く残業して帰るのは夜の9時。今考えれば、その苦しさと辛さが有っ たからこそ、その後の色々な困難にも乗り越えられたように思う。
25歳で独立できたことが自信にもなった。産んだ母親の顔も未だ分からず脊髄カリエス病に悩まされ ながら、私の生い立ちを知って、その後を追いかけてくれる若者達は、目が輝いている。目的を持って 将来の夢を追いかければ、必ずチャンスが生まれるものだ。そのチャンスをいかに生かす事が出来るか が、成功につながるのだ。「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」というように、何事も挑戦しなければ 始まらない。私は30歳の時、親会社の不動産会社が倒産、社長が夜逃げして2400万円の不渡り手形に途 方に暮れた42年前。最大の危機に見舞われた。不動産会社を設立したきっかけは、その苦しみの中から 生まれた。「建築と不動産業の両立」という発想だった。最大のピンチをチャンスに変えた人生の転換点だった。その後、人々から支えられ助けられながら会社経営をしてきた。恩情もって人々と接してきた ことが成功の秘訣だったと思う。順風満帆の人生なんてあり得ない。苦労は当たり前だと思うが、私自 身による座右の銘「行動にチャンスあり 不動にチャンスなし」の言葉通り、自分自身が信念を持って 行動すれば、必ず何時かは幸運のチャンスを掴む事が出来る事を信じて、進む事が未来への道も開ける はずだ。