【 入選 】
僕は、今までに二回入院したことがあります。一回目は2歳の時だったのであまり覚えていませんが、 二回目は6歳の時だったのではっきりと覚えています。それと僕は赤ちゃんの頃から、よく熱を出していたので学校よりも病院に通っていた日数の方が多かったくらいかも。保育園の時は、熱があるといつも「病児保育所」と言って、病気の子が行く保育所へ行っていました。そこにも看護師さんが待機していました。だから僕は、赤ちゃんの頃から看護師さんのお仕事をみることが多かったです。
看護師さんは、いつもにこにこ明るく、優しい笑顔で、いろいろなお世話をしてくれます。僕に見合う仕事はどれがあてはまるだろうか。それは明るい笑顔だと思います。実は僕がよく知っている人に看護師さんがいます。「そらんはいつも笑顔で、まわりを元気にしてくれる。大人になってもずっとその笑顔を忘れるんじゃないぞ。」と頭をくしゃくしゃとなでられ言われました。その人が、看護師さんの仕事を始めたころは、まず仕事を覚えることが大変で、一番大切な笑顔が出来なくなったそうです。そして辛すぎて何度も辞めようと思ったことがあるそうです。でも、一度決めた道をできるところまでやろうと思ったとき、先輩やまわりの人たちがたくさん支えてくれたそうです。そんな時、ふと昔お世話になった友達の顔を見たくなり田舎に帰ってみました。その家は農家でよくお世話になったひいばあちゃんがいたそうです。その家に行くと奥からそのひいばあちゃんが顔を出してきました。「久しぶりです。お元気そうですね。」と言うと、しわしわの顔でニコーっと笑い「どちらさんですか。まあ、来てくれてありがとうね。」と、そのひいばあちゃんは言いました。そのときその看護師さんの顔には自然と泪が流れ出ていたそうです。「僕のことはもう忘れてしまっているんだな。」昔のことを思い出すように、痩せてしまったおばあちゃんの肩を揉んであげると、「こんなおばあちゃんに、あんた、優しい人やねぇ。」 と急に泪ぐんでいたそうです。お世話になった思い出にと立ちよっただけなのに、感謝の気持ちに触れて、自分が看護師を目指していた気持ちを思い出したそうです。
その看護師さんは、看護の道を選んだことに後悔はしていないと言っていました。看護師だからこそ、 その知り合った友達や先輩がいて、悩みを話し合い、苦しみを分け合えることができたと言っていました。僕は、いろいろと夢はありますが、大人になってまだどんなお仕事をするようになるのかわかりません。でも、働く場所は違っても笑顔と優しさを持って人と話をすることは、とても大切なことだと思っています。それを教えてくれたのが、その看護師さんである僕のお父さんです。