【 奨 励 賞 】

【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
働くとは人間にとってなんなのか?
北海道 橋 爪 真貴史 18歳

働くとは、人間にとって何なのか。お金のため?やりがい?生き甲斐?人それぞれかもしれない。そ して、働くということは本当に人間を豊かにするのだろうか。


もしも、お金が貰えないとしたらどうだろう。大抵の人は、一切の報酬がなければ仕事を辞めてしまう だろう。しかし、働く理由や、企業への就職時にお金のためだ、と言うと落とされたり、クリエイター や画家が報酬を求めると、顰蹙を買ってしまう場合がある。なぜなのだろうか。お金が欲しくない人は 居ないのに、なぜお金のためだけに働いてはいけないのだろう。この日本では、働くことに喜びを持っ ている人々が少ないように感じてしまう。皆、死んだような目で通勤しているのを見ていると、働くこ とが人間にとってなんなのかを疑問に思ってしまう。そんな世の中だからこそ、堂々と「金のためだけ に、自分のためだけに働いています」と言える世の中にせねばならないと私は思う。

仕事にやりがいを求めることを間違いだとは思わない。しかし、やりがいを求めすぎなのである。お 金が欲しいのは当たり前なのだ。それなのに、なぜそれ以上を求めるのだろう。お金が欲しいのは当た り前なのだ。それなのに、なぜそう言うと怪訝な顔をされるのだろうか。分からない。なぜ、労働に見 合った対価が欲しいだけなのに、それがいけないのだろうか。労働する限り、その対価は支払われる義務 があるはずだ。労働者は、賃金を受けとる権利がある。その正当な権利を主張できないのは、おかしい ことではないだろうか?そう、おかしいのだ。労働力を提供しているからには、対価を受けとる権利が ある。そして、対価を受け取っているからには、それに見合うだけの労働力を提供する義務がある。こ んな単純な、対等なことなのに、なぜそれ以上を求めてしまうのだろうか。私は自分が世間知らずだか らこんなことを思うのだと考えていた。しかし、自分が働いてみれば働くほど、この疑念は晴れるどこ ろか深まり、大きく膨れ上がっていくばかりだった。


一方で、働くことにやりがいを感じ、働くことを生き甲斐にしている人々が居るのも紛れもない事実 である。それが実現できたならば、それ以上の事は無いだろう。不満はあったとしても、それを目指し て人生を歩んでいけたら、素晴らしいことである。


私が仕事を通して気づいた事。それは、数々の疑問と、不満があるなかでやっていかなければならな いということ。そして、それを正直に受け止めず、真剣に考えたりしても無駄だということだ。どんな ことを思っても結局は生きていくためには避けて通る事はできない、必ずしも立ちはだかる問題なのだ。しかしながら、それを無理に解決しようとせず、回り道したほうが効率が良いことがほとんどだ。それ が、「融通」といわれるものだということ。私はまだ生まれてから十数年しか経っていない子供であるが、 大人になるというのは、見て見ぬフリをするのが上手くなる事なのかもしれない。その場しのぎを上手 くなる事なのかもしれない。そう、思った。


そして、人間にとって働くということ。それは、生きていくための、必ず通らなければない道。嫌が 応でもしなければならない義務。それが、その人にとって嫌な事だったとしても、その人にとっての幸 せな時間だとしても。

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