【 奨 励 賞 】

【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
人の役に立つ
あすなろ会 畔 上 桃 子 22歳

「働く」ということについて深く考えるようになったのは、就職活動の時期からである。学生時代か らアルバイトはしていたが、あくまで自分のお小遣い稼ぎの範囲内であり、「働く」ことの意味について 考えたことはなかった。

就活を始めたばかりの頃は自分のやりたいこと、就きたい職業がなかなか見つからず、かなり苦戦を していた。面接を受けても自分がその企業で働く姿を明確にイメージすることができず、思うように話 すことができなかった。そんなときに相談にのっていただいたのが大学のキャリア支援の職員の方であ る。初めて相談にのっていただいた日に頂いたある言葉が私の「働く」ことへの意識を変えた。

職員の方から「あなたはどんな仕事に就きたいと思っているの?」と聞かれた際、私はただ漠然と「人の役に立つ仕事に就きたい」と答えた。働くからには多くの人の生活を支えることのできる仕事をした いと。すると「じゃあ逆に人の役に立たない仕事って何だと思う?」という質問を投げかけられた。私 は何も答えることができなかった。そこに仕事があるということは、誰かがその仕事によって生み出されるものを必要としており、価値を感じているのである。「人のためにならない仕事なんてない。人の役に立つ仕事を探すんじゃなくて、仕事を通じてどう人の役に立っていきたいのかを考えてみよう。」この言葉は働き始めた今も常に頭の中にある。あたりまえのことのようだが、私にとって「働く」ことの意 味を考える大きなきっかけとなった。

社会人1年目。私は信用組合の職員として働いている。人が生活していくうえで最も大切であるお金 を扱い、利益をあげることよりも相互扶助を目的としており、地域貢献に従事できる点に魅力を感じ就 職を決めた。実際に働いてみるとお客様との距離はとても近く、地域に密着した金融機関であることを 日々感じることができる。まだ自分のできる仕事は決して多くはないが、窓口にいらっしゃったお客様 から「ありがとう」の一言をいただけると、自分も少しはお客様の役に立てているのかなと実感できる。

働いてみて感じたことはやはり、お金を扱う仕事である以上、「信頼」が何よりも大切になってくると いうことだ。新人のまだまだ未熟である私に優しいお言葉をかけてくださるお客様がいる。それは先輩 方がこれまでに築いてきたお客様との信頼関係があるからこそである。この信頼関係を自分が壊すこと のないよう、この信用組合での業務を通じ、お客様にとって何が最善なのかを考え、動けるようになりたい。「仕事を通じ、どう人の役に立っていきたいのか。」あの言葉を常に忘れず、追究し続けることが、 お客様からの信頼を得ることへの一番の近道になると考える。

今はまだわかないことも多く、思うように仕事ができずもどかしさを感じることばかりだ。一方で上司、 先輩から学ぶこと、吸収することもたくさんある。焦らず、地道にコツコツと日々の業務に励み、できることを増やしていきながら、お客様や職場の方から信頼してもらえるような職員を目指していきたい。

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