【 奨 励 賞 】

【テーマ:仕事をしたり、仕事を探したりして気づいたこと】
「ゆとり世代」だからすべきこと
愛知県 川 島 奨 25歳

私は「ゆとり」である。誰も望んで「ゆとり」という肩書きを背負っているわけではないが、社会か ら自然とそう呼ばれている。学生のうちでは、“ゆとって” いようが大して気になることはなかったが、 社会に出た途端、先輩方からあたかも役職かのようにこの肩書きを使われ、仕事上プラスに活きること はなかった。

そう感じながらもいよいよ社会人3年目となり、感じていることがある。私を含むゆとり世代の方々 は教育の上では文字通り、ゆとりがあったかもしれないが、それを覆すほどの「ある素養」を有してい るのではないか、という実感である。その素養とは「ネット文化への適応力」である。

たとえば昨今、アメリカを中心に「クラウドファンディング」という資金調達サービスが盛んで、日 本でもその市場規模は年々拡大している。私が勤めている会社においても、新商品開発自体はするもの の、量産の初期投資額がネックで製品化を断念していた。そこで、クラウドファンディングを活用できな いかと意見してみたところ、サービスそのものを知らない、知っていたとしてもネットを活用したマー ケティングというものに対して消極的な意見が目立ち、とても進められそうになかった。一方で、クラ ウドファンディングの仕組みや他企業の掲載実績を調べれば調べるほど、「ゆとり世代」が時代とともに 育ってきたネット文化での過ごし方をもってすれば、特に難しい障壁はないように感じられ、「私にやらせてください」と思い切りのよい発言をし、社会人として初めて主導で企画を進めることになった。

結果は無事、資金調達に成功し、製品の量産化、販売まで漕ぎつけることができた。これを実績の皮 切りとして、ネットプレスリリースやネット通販といったものにまで会社の事業として乗り出し、ネッ トに関する企画を多く任される役割を持つことができた。

生きている以上、決して「ゆとり世代」から抜け出すことはできない。加えてこの世代はネガティブ な意味で捉えられることも少なくはない。その状況下であっても、ゆとり世代が多いネットインフルエ ンサーが社会に影響をもたらし始めている。社会の先輩方に「最近の若者のやることは分からない」と 一蹴され萎縮することもあるが、「ゆとり世代が、新たな文化を築く」といった気概で前を向いて挑んで いく姿勢が、今のゆとりに最も必要なことなのかもしれない。

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